ケイシー・グローヴの正体は、ランドールへの恩義から第二王子フェリクス暗殺を企てたブライト伯爵令嬢です。
ただし、冷酷な暗殺者だったわけではありません。故郷と家族を守ろうとした末に罪を犯し、モニカとの友情まで自ら手放そうとした、悲しさと優しさを併せ持つキャラクターです。
この記事では、ケイシーの正体、暗殺を決意した理由、モニカとの友情、事件後に修道院へ送られた経緯、原作で描かれるその後まで詳しく解説します。
この記事にはアニメ第8話および原作の重大なネタバレが含まれます。
この記事を読むとわかること
- ケイシー・グローヴの正体と基本プロフィール
- フェリクス第二王子の暗殺を企てた理由
- モニカとの友情はすべて嘘だったのか
- 暗殺未遂事件後に修道院へ送られた経緯
- 原作で描かれるケイシーとモニカの再会
- ケイシーというキャラが物語に与えた影響
サイレント・ウィッチのケイシー・グローヴの正体とは?
ケイシー・グローヴの正体は、セレンディア学園に通うブライト伯爵令嬢であり、第二王子フェリクスの暗殺を企てていた人物です。
検索では「ケーシー」と表記されることもありますが、アニメ公式サイトや原作で使われている名前はケイシー・グローヴです。
彼女はプロの暗殺者や敵国の工作員として育てられた人物ではありません。辺境領地を守るブライト伯爵家の娘が、家族と故郷を救ってくれたランドール王国への恩義から、政治的な暗殺計画に加担してしまったのです。
ケイシー・グローヴの基本プロフィール
ケイシーは、セレンディア学園高等科二年生の女子生徒です。
王国東端の国境地帯に領地を持つブライト伯爵家の令嬢で、貴族らしい気品を備えながらも、田舎貴族らしい実務能力とたくましさを持っています。
アニメ版の声優は直田姫奈さんです。公式プロフィールでは、馬術や狩りを得意とし、家畜の出荷まで手伝う快活な令嬢として紹介されています。刺繍の腕前も高く、学園祭のチャリティバザーに作品を出品するほどです。サイレント・ウィッチ+1
項目 内容
名前 ケイシー・グローヴ
年齢 17歳
所属 セレンディア学園高等科二年生
身分 ブライト伯爵家の令嬢
出身 リディル王国東端のブライト領
得意分野 馬術、狩り、刺繍、家畜の世話
性格 快活、気さく、面倒見の良い姉御肌
声優 直田姫奈
秘密 第二王子フェリクスの暗殺を計画
事件後 学園を去り、修道院で生活
グローヴという姓でありながら「ブライト伯爵家の令嬢」と紹介されているため、名前を見て混乱した人もいるかもしれません。
しかし、アニメ公式サイトと原作の登場人物紹介では、いずれもケイシーをブライト伯爵令嬢と明記しています。ブライトは彼女の家や領地を示す名称として作中で扱われていますが、姓との関係について細かな説明はされていません。ここは魔法より難しい家名ミステリー……ではなく、公式設定としてそのまま受け取るのがよいでしょう。サイレント・ウィッチ+1
表向きは快活で頼れる伯爵令嬢
ケイシーの第一印象は、とにかく明るくて頼れるお姉さんです。
人付き合いが苦手なモニカにも自然に話しかけ、食事や授業、見学会へ誘います。クローディアとラナの空気が険しくなれば、さりげなく間に入り、場を整えることもありました。
貴族令嬢でありながら魚のフライをパンに挟んで豪快に食べるなど、気取らない姿も魅力です。
馬に乗り、狩りをし、家畜の出荷を手伝い、その一方で繊細な刺繍も仕上げる。お嬢様というより、領地経営の即戦力です。魔術を派手に撃ち合うキャラクターではありませんが、日常生活の能力値はかなり高いといえるでしょう。
ケイシーはモニカの「最初の友人」なのか
ケイシーはモニカにとって大切な友人ですが、公式プロフィール上の「最初の友人」はラナ・コレットです。
アニメ公式サイトでは、ラナについて「編入してきたモニカに声をかけ、最初の友人となる」と明記されています。一方のケイシーは、ラナやクローディアとともにモニカの学園生活を支え、交友関係を広げた人物です。サイレント・ウィッチ
そのため、ケイシーを「モニカの最初の友人」と断定するより、モニカが学園で築いた最初期の友人の一人と表現するのが正確です。
とはいえ、モニカに食事や見学会の楽しさを教え、さりげなく会話をつないでくれたケイシーの存在が大きかったことに変わりはありません。
ケイシーはモニカの最初の友人ではないものの、モニカに「友人と過ごす日常」を実感させた重要なキャラクターです。
ケイシーはなぜフェリクス第二王子を暗殺しようとした?
ケイシーがフェリクスを狙った理由は、第二王子の後ろ盾であるクロックフォード公爵がランドール侵攻を計画していると考えたからです。
彼女にとってランドール王国は、単なる隣国ではありません。
竜害に苦しむブライト領をリディル王国が十分に助けてくれなかった一方、国境を越えて救援してくれた恩人の国でした。
三人の兄を竜討伐で失った過去
ブライト領は、リディル王国東端に位置する痩せた土地です。
領内には竜が多く出現していましたが、国王直属の竜騎士団は重要度の高い地域を優先し、辺境のブライト領への到着は遅れがちでした。
ケイシーには三人の兄がいましたが、三人とも領地を守るために竜討伐へ向かい、命を落としています。
父であるブライト伯爵は何度も国へ救援を求めました。しかし、中央から見ればブライト領は優先順位の低い土地であり、十分な支援を受けられませんでした。小説家になろう
家族を次々と失い、民も土地も疲弊していく。
そんな状況で「王国に忠誠を尽くせ」と言われても、ケイシーの心が素直にうなずけなかったのは無理もありません。
もちろん、苦しい事情があっても暗殺は正当化できません。ただ、彼女の行動を単純な悪意だけで説明できない理由が、ここにあります。
ブライト領を救ったのはランドール王国だった
国から十分な救援を受けられなかったブライト領へ、秘密裏に騎士団を派遣したのが隣国ランドールでした。
ケイシーの祖母はランドールの侯爵家に連なる人物で、その縁から騎士団が救援に駆けつけたとされています。
ランドールの騎士団はブライト領の竜退治に協力し、窮地に陥っていた領民を救いました。その後、ブライト伯爵とランドールの貴族は密かに連絡を取り合うようになります。小説家になろう
リディル王国から見れば、隣国の騎士団が国境を越えて活動するのは大きな問題です。
しかし、目の前で家族や領民が失われていくブライト家にとっては、規則を守って救援を待つだけでは何も守れませんでした。
ケイシーの中で、祖国リディルへの忠誠よりも、実際に手を差し伸べてくれたランドールへの恩義が大きくなったのです。
クロックフォード公爵の戦争計画を恐れていた
第二王子フェリクスの母方の祖父は、国内で大きな権力を持つクロックフォード公爵です。
ブライト伯爵家が得ていた情報では、公爵はシュヴァルガルト帝国との戦争を視野に入れ、その足がかりとしてランドール王国へ侵攻しようとしていました。
フェリクスが国王になれば、クロックフォード公爵の影響力がさらに強くなり、ランドールへの侵攻が現実になるかもしれない。
ケイシーはフェリクス本人というより、クロックフォード公爵に操られる「傀儡の王」になる可能性を恐れていたのです。小説家になろう+1
ここで重要なのは、ケイシーがフェリクス個人へ強い恨みを抱いていたわけではない点です。
彼女が狙ったのは「未来の戦争を引き起こすかもしれない政治的象徴としての第二王子」でした。だからこそ、この事件には個人的な復讐だけでなく、王位継承争いと外交問題が複雑に絡んでいます。
父から託された暗殺用魔導具〈螺炎〉
ケイシーの父は、娘をセレンディア学園へ送り込みました。
最初の目的はフェリクスの目に留まり、王子を籠絡することです。ケイシーがフェリクスの妃となり、政治的な影響力を持てれば、ランドール侵攻を止められる可能性がありました。
しかし、それができなかった場合の手段として、父はケイシーへ暗殺用魔導具〈螺炎〉を渡します。小説家になろう
〈螺炎〉は周囲の魔力を吸収し、一定量に達すると高速回転する炎を放つ魔導具です。一般的な防御結界を貫くほどの威力を持つ一方、攻撃できる範囲は広くありません。
そこでケイシーは、フェリクスが学園祭用の花火搬入に立ち会うタイミングを狙いました。
〈螺炎〉がフェリクスを直接仕留められなくても、花火へ引火すれば大事故を起こせる。そのため、花火が置かれた西の倉庫へ魔導具を仕掛けたのです。小説家になろう+1
木材事故はアリバイ作りだった
アニメ第8話「わたしの責務」では、学園祭の資材搬入中、積まれていた木材がケイシーの方向へ倒れる事故が発生します。
モニカは無詠唱魔術でケイシーを助けますが、木材を縛っていた縄に不自然な切れ目があることに気づきました。公式あらすじでも、学園祭の資材搬入にケイシーが同行し、倉庫へ向かう流れが描かれています。サイレント・ウィッチ
縄は自然に切れたのではなく、数秒から十数秒後に切断されるよう計算して傷つけられていました。
ケイシーは自分が事故に巻き込まれた被害者になることで、〈螺炎〉が作動した際の疑いを避けようとしていたのです。ところが、縄が切れる時間まで計算してしまうモニカが相手でした。相手が悪い。いや、頭が良すぎる。
モニカに追及されたケイシーは、最初こそ「モニカが嫌いだから木材で狙った」と説明します。しかし、視線や口調の不自然さから、モニカには嘘だと見抜かれました。小説家になろう
ケイシーとモニカの友情はすべて嘘だった?
ケイシーは当初、フェリクスへ近づくためにモニカを利用していましたが、二人の友情がすべて演技だったわけではありません。
ケイシー自身は事件後、「友達のふりをしていた」「自分を憎んでほしい」とモニカを突き放します。
しかし、彼女の行動を追うと、モニカへの親切や心配まで全部が作り物だったとは考えにくいのです。
モニカへ近づいた最初の目的は情報収集
フェリクスはモニカを生徒会へ勧誘し、何かと気にかけていました。
ケイシーはモニカの近くにいれば、フェリクスや生徒会役員の行動予定を知る機会が増えると考えます。
実際、ケイシーはモニカと親しくなったことで、生徒会がいつ、どこで学園祭の準備をするのかを把握しました。
その意味では、ケイシーがモニカを利用したのは事実です。本人も暗殺計画が発覚した後、モニカへ近づいた理由を認めています。小説家になろう
また、お茶会の授業では、モニカが用意していた紅茶の缶をケイシーが捨てていたことも判明します。
モニカは、缶につけた目印の存在を知っていたのがケイシーだけだったことから、以前から犯人に気づいていました。それでも、ケイシーが昼食へ誘い、困ったときに助けてくれたため、「何かの間違いかもしれない」と信じようとしていたのです。小説家になろう
親切まで演技だったとは言い切れない
ケイシーは、モニカを食事へ誘い、見学会へ連れ出し、会話に入りやすいよう話題を振っていました。
ラナとクローディアが言い争いそうになれば、自然に間へ入って空気を整えています。刺繍が得意なことを話し、モニカのためにも作ると約束していました。
暗殺計画のためだけなら、必要な情報を得た時点で距離を置いてもよかったはずです。
しかし、ケイシーはモニカが困っていると放っておけず、事件後もモニカのことを気にかけ続けています。
原作では、ケイシーが修道院へ送られた後、彼女を訪ねたルイスに対してモニカを悪く言われると腹を立て、名前を出さないよう頼みながら贈り物を託しています。小説家になろう
自分を忘れてほしいと言いながら、遠く離れた場所で贈り物を用意している。
この不器用さこそ、ケイシーが本当にモニカを大切に思っていた証拠でしょう。
「嫌い」はモニカを巻き込まないための嘘
計画を見抜かれたケイシーは、モニカへ「初めて会ったときから嫌いだった」と告げます。
しかし、その言葉には明らかな演技臭さがあり、モニカにも嘘だと見破られました。
ケイシーが嫌われようとした理由は、自分とモニカの関係を断ち切るためだと考えられます。
王族暗殺未遂に関与した者と親しかったとなれば、モニカまで疑われる可能性があります。何より、ケイシー自身が処罰された後も、モニカが自分を責め続けることを恐れたのでしょう。
だからこそ、ケイシーは最後まで自分を「敵」と呼び、友情を否定しました。
それは友情がなかったからではありません。友情が本物になってしまったからこそ、自分から壊そうとしたのです。
モニカが示した「友人を見捨てない強さ」
ケイシーは〈螺炎〉の存在を知ったモニカを止めるため、刃物を向けます。
それでもモニカは、ケイシーを倒すことだけを考えませんでした。
ネロの助けを借りて彼女の動きを封じると、〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーが学園に設置していた大規模結界を利用し、〈螺炎〉を封じようとします。
モニカはまず、遠隔魔術で外から学園を攻撃して防御結界の発生地点を特定しました。その後、結界を保護する術式を精霊王召喚で破壊し、内部の術式を対〈螺炎〉用に書き換えています。小説家になろう+1
魔力をほとんど使い切りながらも、モニカはフェリクスや学園の人々を救いました。
さらに、事件後には処刑される可能性が高かったケイシーを助けるため、ルイスへ必死に交渉しています。
人と話すだけで震えていたモニカが、七賢人のルイスを相手に政治的な取引を持ちかける。この場面は、魔術の強さ以上にモニカの成長を示しています。
ケイシーがモニカへ与えたものは、楽しい学園生活だけではありません。
大切な相手のためなら、怖くても言葉を発する勇気をモニカから引き出したのです。
ケイシー・グローヴのその後はどうなる?
ケイシーは処刑を免れますが、セレンディア学園へは戻らず、北方の修道院で暮らすことになります。
事件の存在は公にされず、フェリクスを含む学園の生徒たちにも詳しい事情は明かされません。
ケイシーは社交界から姿を消し、表舞台へ戻ることのできない生活を選ばされます。
モニカの交渉で処刑を回避する
王族暗殺未遂は、本来なら極刑を避けにくい重大犯罪です。
ルイスは当初、ケイシーを取り調べ、必要であれば精神へ干渉する魔術を用いて関係者を洗い出す考えでした。
しかし、モニカはケイシーがランドールと関係の深い第一王子派である点に注目します。
もし第一王子派とつながる令嬢が第二王子を暗殺しようとした事実が公になれば、王位継承争いが激化し、第一王子派にも大きな打撃となります。
モニカはこの政治的な事情を材料に、事件を秘密裏に処理するようルイスへ求めました。
最終的にルイスは、ケイシーがすべてを正直に話すことを条件として、精神関与魔術を使わず、修道院送りとする処分を提示します。二度と学園や社交界へ戻れないものの、命は救われました。小説家になろう
そのため、「モニカの慈悲だけで無罪になった」というわけではありません。
ケイシーは自由と身分に伴う将来を失い、社会的には厳しい罰を受けています。それでも、モニカが勇気を振り絞って交渉しなければ、さらに重い結末を迎えていた可能性が高いでしょう。
ケイシーとモニカの別れ
護送される直前、ケイシーはモニカへ、自分は友達ではなく敵なのだと改めて言い聞かせます。
モニカに「憎んでほしい」「憎めないなら忘れてほしい」と求めますが、モニカは忘れないと拒みました。
ケイシーは最後までモニカの方を振り返らず、普段どおりの呼び方で別れを告げます。
学園へ戻ることも、社交界へ出ることもできない。二人にとって、これが今生の別れになるかもしれない場面でした。小説家になろう
ここで印象的なのは、ケイシーが謝罪や感謝をあえて口にしないことです。
素直に気持ちを伝えれば、モニカはますます自分を忘れられなくなる。だからこそ、ケイシーは最後まで悪役を演じようとします。
ところが、世話焼きな口調も、モニカを心配する言葉も、どう見てもいつものケイシーです。
友情を否定すればするほど友情が見えてくる。なかなか切ない逆説です。
修道院での生活
事件後のケイシーは、北方にある人里離れた修道院で暮らしています。
修道院には年配の女性が多く、馬術や狩りに慣れた若いケイシーは、食料調達などで力を発揮していました。
貴族令嬢として学園生活を送っていたころとは大きく異なりますが、狩りや家畜の扱いを得意とする彼女にとって、何もできず閉じ込められているだけの生活ではありません。
彼女の実務能力が、修道院でも周囲の人々を支えているのです。小説家になろう
ルイスが修道院を訪れた番外編では、ケイシーは暗殺用魔導具〈螺炎〉の入手経路について事情を聞かれます。
〈螺炎〉がブライト伯爵家には簡単に購入できないほど高価だったことから、ランドール側の何者かが父を利用した可能性も浮上しました。小説家になろう
これは、ケイシーが自分の意思で罪を犯した一方、より大きな政治的思惑に巻き込まれていた可能性を示しています。
原作ではモニカと再会する
ケイシーは学園へ戻りませんが、原作Web版の後半でモニカと再会します。
モニカは別の目的で修道院を訪れ、狩りをしていたケイシーと偶然顔を合わせました。
二人の間には事件後の気まずさが残っています。ケイシーは、自分がモニカの友人ではないという態度を崩そうとせず、モニカもどう接すればよいのか迷っています。
それでも、足を滑らせそうになったモニカをケイシーが反射的に支えたり、寒がるネロを修道院へ入れてよいか気遣ったりと、以前と変わらない優しさがにじみます。小説家になろう
さらにケイシーは、猫の姿をしたネロへ、モニカが自分について何か話していたかを尋ねています。
モニカもまた、再会前からケイシーに素っ気なくされたらどうしようと悩んでいました。表面上は決別した二人ですが、どちらも相手を大切に思い続けていたのです。小説家になろう
友情が完全に元通りになったと単純にはいえません。
それでも、「暗殺未遂を起こした敵」と「それを阻止した護衛」という関係だけで終わらず、再び同じ場所で言葉を交わせたことには大きな意味があります。
アニメで再登場する可能性はある?
テレビアニメ第1期では、第8話「わたしの責務」でケイシーの正体と暗殺計画が描かれました。第8話の放送日は2025年8月22日で、全13話のうち物語中盤に当たります。サイレント・ウィッチ+1
修道院での生活やモニカとの再会は、アニメ第1期より先の原作エピソードです。
そのため、今後アニメの続編が制作され、該当範囲まで映像化されれば、ケイシーが再登場する可能性があります。
ただし、続編でどこまで描かれるかは制作構成によって変わります。ケイシーの再会場面だけを早めるのか、原作の流れに沿って後半まで待つのかは、正式な発表を確認する必要があります。
個人的には、あの別れで終わったと思った視聴者にこそ、修道院での再会を見てほしいところです。ケイシーが猫姿のネロを普通にかわいがり、ネロが正体を隠しながら猫を演じる場面は、切なさと笑いの配合が実に『サイレント・ウィッチ』らしいと感じます。
ケイシーはなぜ魅力的なキャラなのか?考察とまとめ
ケイシーの魅力は、善人でありながら罪を犯し、友情を大切にしながら友人を利用してしまった矛盾にあります。
彼女は最初から残酷な人物だったわけではありません。
家族を失い、故郷を見捨てられ、実際に助けてくれた国が侵略されるかもしれない。そんな恐怖の中で、「自分が行動しなければ、また大切なものを失う」と思い詰めました。
友情と裏切りの両方を体現した人物
ケイシーはモニカへ友情を与えた一方、その友情を暗殺計画へ利用しました。
親切にしたことも、情報を得ようとしたことも事実です。
この二つが同時に存在するため、読者や視聴者は「どこまでが演技だったのか」と考えさせられます。
しかし、人の感情は「本物か偽物か」の二択ではありません。
最初は打算で近づき、過ごすうちに本当に大切な友人になってしまうこともあります。ケイシーとモニカの関係は、まさにその変化を描いたものだと考えられます。
悪人ではないが、被害者だけでもない
ケイシーには同情できる事情があります。
三人の兄を失い、領地は竜害に苦しみ、祖国から十分な支援を受けられませんでした。ランドールを守ろうとする気持ちも理解できます。
一方で、彼女が実行しようとした計画は、フェリクスだけでなく、倉庫周辺にいたエリオットや作業員、学園の生徒たちまで巻き込む危険なものでした。
モニカが〈螺炎〉を封じられなければ、大勢が傷つく大事故になっていた可能性があります。
そのため、ケイシーを「かわいそうだから悪くない」と結論づけることはできません。
事情には同情できても、行動の責任は消えない。
作品がケイシーを処刑せず、それでも学園へ戻さなかったのは、この両方を成立させるためではないでしょうか。
モニカの成長を示す転換点
ケイシーの事件は、モニカにとって大きな転換点です。
それまでのモニカは、七賢人として圧倒的な魔術を使えても、人間関係では受け身になりがちでした。
しかし、ケイシーの命が懸かった場面では、自分からルイスへ話しかけ、政治的な事情を組み立て、処刑を避ける方法を提示します。
ルイスから見れば、小賢しい取引です。
けれど、モニカにとっては、友人を救うために初めて自分の意思と言葉を武器にした瞬間でした。
ケイシーはモニカを裏切りました。
同時に、ケイシーがいたからこそ、モニカは「人を信じることには傷つく危険がある。それでも大切にしたい人がいる」と知ったのです。
派手な魔術を持たないからこそ印象に残る
『サイレント・ウィッチ』には、無詠唱魔術を使うモニカ、強力な結界を操るルイス、上位精霊や優秀な魔術師など、規格外の人物が数多く登場します。
その中で、ケイシーは魔術の天才ではありません。
武器になるのは馬術、狩り、刺繍、気配り、社交性です。
それでも、彼女が登場するエピソードは物語の中でも強い印象を残します。
それは、ケイシーの問題が魔術では解決しきれないからです。
モニカは〈螺炎〉を止められても、ケイシーが家族を失った過去までは消せません。修道院送りを選ばせることはできても、何事もなかったように学園へ戻すことはできません。
強力な魔法でも元に戻せないものがある。
ケイシー編は、その現実をモニカと読者へ突きつけるエピソードなのです。
ケイシー・グローヴの正体とその後まとめ
ケイシー・グローヴは、ブライト伯爵家に生まれた快活な令嬢です。
馬術や狩りを得意とし、刺繍やチャリティ活動にも取り組む、人間味にあふれたキャラクターでした。
しかし、竜害で三人の兄を失い、ブライト領を救ってくれたランドールへ強い恩義を抱いたことで、第二王子フェリクスの暗殺計画へ加わります。
モニカへ近づいた当初の目的には打算がありました。それでも、一緒に食事をし、学園生活を過ごす中で生まれた友情まで、すべて嘘だったわけではありません。
事件後、ケイシーはモニカの交渉によって処刑を免れ、修道院へ送られます。
学園には戻りませんが、原作後半ではモニカと再会し、以前と変わらない世話焼きな優しさを見せています。
- ケイシーの正体はフェリクス暗殺を計画したブライト伯爵令嬢
- 暗殺の目的はランドール侵攻を阻止すること
- 三人の兄を竜討伐で失った過去がある
- 父から暗殺用魔導具〈螺炎〉を託された
- モニカへ近づいた当初は情報収集の目的があった
- モニカとの友情は、途中から本物になったと考えられる
- 暗殺未遂後は処刑を免れ、修道院送りとなった
- セレンディア学園や社交界へは戻らない
- 原作後半でモニカと再会する
- 友情、裏切り、家族への愛、政治に翻弄される弱さを併せ持つ人物
筆者としては、ケイシーを単なる「裏切りキャラ」として片づけるのは惜しいと感じます。
彼女は間違った選択をしましたが、その選択へ至る感情には理解できる部分があります。明るく頼れる令嬢の姿と、故郷を守るため罪を犯す姿が同じ人物の中にあるからこそ、強い余韻を残すのでしょう。
ケイシーは、モニカに友情の温かさだけでなく、信じた相手に傷つけられる痛みも教えました。
そしてモニカは、その痛みを知ったうえでケイシーを見捨てませんでした。
二人の関係は元どおりではありません。それでも、壊れた友情の欠片を互いに捨てられずにいるところに、『サイレント・ウィッチ』らしい優しさがあるのではないでしょうか。
よくある質問
ケイシー・グローヴの正体は敵ですか?
ケイシーは第二王子フェリクスの暗殺を企てたため、その事件ではモニカの敵となります。
ただし、最初からモニカを傷つけることだけを目的とした悪人ではありません。故郷とランドールを守ろうとした結果、暗殺という間違った方法を選んだ人物です。
ケイシーとモニカの友情は嘘だったのですか?
最初にモニカへ近づいた目的には、フェリクスや生徒会の情報を得るという打算がありました。
一方で、事件後もモニカのために贈り物を用意し、再会時にも自然に気遣っているため、友情そのものは本物になっていたと考えられます。
ケイシーは死亡しますか?
ケイシーは死亡しません。
モニカがルイスと交渉したことで処刑を免れ、事件後は修道院で暮らします。学園には戻りませんが、原作後半ではモニカと再会しています。


