『メダリスト』で結束いのりの姉は、元フィギュアスケート選手の結束実叶(ゆいつか・みか)です。
母・結束のぞみや、いのりの友人・大和絵馬と混同されることがありますが、実叶こそが、いのりにスケートへの憧れを与えた本当の「お姉ちゃん」。しかも彼女は、いのりの原点であるだけでなく、結束家が過去の挫折を乗り越えていくうえでも欠かせない存在です。
この記事を読むとわかること
- 『メダリスト』に登場する結束いのりの姉の名前と正体
- 結束実叶がフィギュアスケートを辞めた理由
- 姉の挫折が、いのりと母親に与えた影響
- 実叶といのりの関係や、いのりがスケートを始めた原点
- 大和絵馬や鹿本すずが「姉」と検索される理由
- 結束実叶が『メダリスト』の物語で担っている本当の役割
『メダリスト』いのりの姉は誰?結束実叶が正体
結束いのりの実の姉は、結束実叶(ゆいつか・みか)です。
一部では「結束希」「結束のぞみ」が姉として扱われていることがありますが、結束のぞみはいのりと実叶の母親です。ここを最初に整理しておくと、結束家の人間関係がかなり分かりやすくなります。
キャラクター 読み方 いのりとの関係
結束いのり ゆいつか・いのり 本作の主人公
結束実叶 ゆいつか・みか いのりの実の姉
結束のぞみ ゆいつか・のぞみ いのりと実叶の母親
大和絵馬 やまと・えま いのりの友人・ライバル
鹿本すず かもと・すず 大和絵馬が「すず姉」と慕う選手
「結束」という名字を初見で読める人は、かなりの『メダリスト』上級者かもしれません。
普通なら「けっそく」と読みたくなりますが、作中での読み方は「ゆいつか」です。そのため、「ゆいつかいのり」「ゆいつか いのり 姉」と検索して、姉が誰なのか確認した人も多いでしょう。
姉・結束実叶の基本情報
結束実叶は、いのりより8歳年上の姉です。
かつてはフィギュアスケート選手として活動しており、幼いいのりにとっては、氷の上で輝く憧れそのものでした。
実叶の主な特徴を整理すると、次の通りです。
- いのりの実の姉
- いのりより8歳年上
- フィギュアスケートの元選手
- 名城クラウンFSCに所属していた
- ノービスBの中部ブロック大会で優勝経験がある
- ジャンプ練習中の骨折をきっかけに競技を断念した
- いのりを「のんちゃん」と呼び、かわいがっている
- アニメ版の声優は和氣あず未さん
つまり実叶は、単に「主人公のお姉ちゃん」というだけのキャラクターではありません。
ノービスBの中部ブロック大会で優勝するほどの実力を持った元競技者であり、いのりが「自分もスケートをしたい」と思うには十分すぎるほど、まぶしい存在でした。
アニメ版では、母・結束のぞみを小清水亜美さん、姉・結束実叶を和氣あず未さんが演じています。
改めて整理すると、のぞみは母親、実叶は姉です。
名前の響きがどちらも柔らかいうえ、結束家の過去に深く関わっているため混ざりやすいのですが、『メダリスト』の家族関係を理解するうえでは最初に押さえておきたいポイントです。
結束実叶は「夢を諦めて暗くなった姉」ではない
実叶は、選手として大きな挫折を経験しています。
だからといって、物語の中で「過去に囚われて暗く沈み続ける姉」として描かれているわけではありません。
むしろ実叶は明るく、行動力もあり、妹への愛情を隠そうともしないパワフルなお姉ちゃんです。
自分が競技を続けられなかったからといって、いのりの夢まで否定することもしません。
ここが、母・のぞみとの大きな違いです。
母親が実叶の過去を思い出して「また同じことになるかもしれない」と警戒する一方で、実叶は自分といのりを別の人間として見ています。
筆者としては、ここに実叶という人物の本当の強さが表れていると感じます。
自分が立てなかった場所へ、妹が向かっていく。
それは純粋なうれしさだけではなく、場合によっては「自分も続けていたら」という気持ちを刺激してもおかしくありません。それでも妹の挑戦を肯定できる実叶は、競技成績とは別の意味で、とても強い人なのです。
結束実叶はなぜスケートを辞めた?骨折だけではない引退理由
結束実叶がフィギュアスケートを辞める直接的なきっかけになったのは、ジャンプ練習中の骨折です。
有望な選手として結果を残していた実叶でしたが、この怪我によって競技人生は大きく変わります。
ただし、「骨折したからスケートを諦めた」とだけ理解すると、結束家が抱えていた事情や、実叶自身の選択を十分に捉えられません。
ジャンプ練習中の骨折で競技継続が難しくなった
フィギュアスケートでは、ジャンプの踏み切りや着氷時に足へ大きな負担がかかります。
実叶は練習中に足を骨折し、それをきっかけに本格的な競技生活から離れることになりました。
しかも、この怪我が与えた影響は実叶本人だけにとどまりません。
そばで娘を支えていた母・のぞみにとっても、「努力してきた娘が怪我によって競技を続けられなくなる」という出来事は、非常に大きな経験でした。
時間も費用も愛情も注ぎ、親子で競技生活を支えてきたからこそ、失ったときの衝撃も大きくなります。
のぞみが後に、いのりの挑戦へ強く慎重になる背景には、この実叶の経験があります。
「もう一人の娘には、同じ思いをさせたくない」。
その感情自体は、親として理解できるものでしょう。
ただ、その恐怖が強くなりすぎた結果、まだ始めてもいないいのりの可能性まで狭めようとしてしまう。『メダリスト』は、親の愛情が必ずしも子どもの望む形になるとは限らない難しさまで描いています。
実叶がスケートを辞めた背景には家族の負担もあった
実叶の競技断念を考えるうえでは、結束家が競技を支えるために負っていた負担も重要です。
フィギュアスケートは、リンク使用料やレッスン代、衣装、スケート靴、遠征など、競技を続けるためにさまざまな支えを必要とします。
さらに金銭面だけではなく、練習や大会への送迎など、家族の時間も必要になります。
母・のぞみも、実叶の選手生活を支えるために無理を重ねていました。
実叶は自分が競技から離れたあと、母の負担が軽くなった様子を感じ取ります。
そのため、怪我が治れば何事もなかったように復帰するのではなく、家族の状況まで考えたうえでスケートから離れる道を選んだ面があります。
ここが、実叶を単なる「怪我で夢を失った姉」として片づけられない理由です。
実叶はスケートが嫌いになったから辞めたわけではありません。
むしろ、好きだったからこそ、続けたい気持ちと、これ以上家族へ負担をかけたくない気持ちの両方を抱えていたと考えられます。
夢を手放す瞬間は、ジャンプの成功や失敗ほど派手ではありません。
それでも、続けたかったものから自分の意思で離れる決断には、競技を続けるのとはまた違った覚悟が必要だったのではないでしょうか。
母・結束のぞみが「また同じことになる」と恐れた理由
母・のぞみがいのりのスケートに反対したのは、単に「実叶でも成功できなかったから」ではありません。
実叶の競技人生を間近で見たことで、複数の不安が積み重なっていました。
- 実叶のように怪我をしてしまうかもしれない
- 遅い時期から始めても結果が出ないかもしれない
- いのりが挫折して深く傷つくかもしれない
- 家族が再び大きな負担を背負うかもしれない
- 挑戦させた結果、本人を失望させてしまうかもしれない
のぞみの言葉は、いのりの気持ちを傷つけるほど厳しいものでした。
しかし、その根底にあるのは無関心ではなく、実叶の経験から生まれた過剰な心配です。
だからこそ、『メダリスト』の家族描写は単純な「夢を邪魔する母親対、夢を追う娘」という構図では終わりません。
親として守りたい気持ちと、子ども本人が挑戦したい気持ち。そのどちらにも理由があるからこそ、対立する場面が苦しく、同時にリアルなのです。
姉・実叶と結束いのりの関係は?スケートへの憧れの原点
いのりがフィギュアスケートに憧れるようになった原点は、姉・実叶が滑る姿です。
いのりにとって実叶は、大好きな家族であると同時に、自分の目の前で輝いていた最初のスケート選手でした。
『メダリスト』の主人公・結束いのりは、明浦路司との出会いをきっかけに自分の才能を開花させていきます。
しかし、そもそもいのりの心の中に「私も氷の上で滑りたい」という火がともった背景には、姉の存在があります。
いのりにとって実叶はどんなお姉ちゃん?
いのりにとって実叶は、大きく三つの意味を持つ存在です。
- スケートへの憧れを与えた人
- 自分をかわいがってくれる大好きな姉
- 競技の華やかさだけでなく厳しさも身近に示した元選手
幼いいのりは、実叶が氷上で輝く姿を見ながら育ちました。
自分も同じように滑りたい。
そう思うのは、ごく自然なことだったでしょう。
さらに、いのりのおでこにある特徴的な三つ編みも、選手時代の実叶への憧れにつながっています。
髪形までまねしたくなるほどですから、幼いいのりにとって実叶がどれほど大きな存在だったのかが伝わってきます。
ただし、ここで大切なのは、いのりがいつまでも「お姉ちゃんのまね」をしているわけではないことです。
司と出会い、自分の目標を言葉にし、練習やバッジテスト、大会を経験していくことで、スケートは「姉がやっていたもの」からいのり自身が本気でやりたいものへと変わっていきます。
いのりは「姉の夢を継ぐため」に滑っているわけではない
いのりについて、「実叶が果たせなかった夢を代わりにかなえる物語」と解釈されることがあります。
確かに、実叶の存在はいのりの原点です。
ですが、いのりの競技人生すべてを「姉の夢の続き」と説明してしまうと、本作が描いている本人の意思が薄れてしまいます。
いのりは、誰かの代役になるために成功を目指しているのではありません。
自分がスケートを好きだから滑り、自分の意思で金メダルを目指しています。
実叶は、妹に「私の代わりに夢をかなえて」と背負わせた人物ではありません。
夢を押しつけたのではなく、「こんな世界があるんだ」と夢の存在を見せた人物なのです。
火をつけたのは姉。
しかし、その火を守り、練習を続け、より大きく燃やしているのはいのり本人です。
この違いは、『メダリスト』の物語を理解するうえでかなり重要だと筆者は感じます。
姉の挫折はいのりへ何を残した?
実叶の競技人生は、いのりにとって憧れである一方、スケートの厳しい現実を示す出来事でもあります。
いのりの身近には、最初から次の現実が存在していました。
- 努力を重ねても怪我で続けられなくなることがある
- 実力や才能があっても夢がかなわない場合がある
- 競技を続けるには家族の支えが必要になる
- 自分の挑戦によって母親に再び心配をかけるかもしれない
だから、いのりは何も知らないまま無邪気に大きな夢を語っている少女ではありません。
姉が競技を離れた現実を身近で知り、母親が反対する理由も感じながら、それでも氷の上に立つことを選んでいます。
筆者として、いのりの強さは「怖がらないこと」ではなく、怖さを知りながらも進むことだと考えています。
実叶の過去は、一歩間違えればいのりを縛る鎖になっていたかもしれません。
しかし司との出会いによって、「お姉ちゃんができなかったから自分にも無理」ではなく、「私はどうしたいのか」と考えられるようになっていく。
姉の過去を否定するのではなく、過去と違う未来を自分で選ぼうとするところに、いのりの成長があります。
姉・実叶の存在は母・結束のぞみとの関係をどう動かした?
実叶の怪我と競技断念は、母・結束のぞみがいのりの挑戦へ反対する大きな要因になっています。
のぞみは、実叶の選手生活を支え、怪我によって競技を離れていくまでを間近で経験しました。
そのため、いのりが「スケートをやりたい」と願ったとき、希望より先に「また同じことになったら」という不安が生まれてしまいます。
母親の反対は「姉との比較」になって現れる
のぞみは、実叶の経験を基準にして、いのりの未来を判断しようとします。
しかし、実叶といのりは別の人間です。
性格も、得意なことも、競技を始めるタイミングも、指導者も違います。
それでも過去の傷が大きいほど、人は新しい出来事を「以前失敗したときと同じもの」として見てしまうことがあります。
のぞみの反対には、まさにその心理が表れています。
「お姉ちゃんでも続けられなかった」という過去が、知らないうちに「だからいのりにもできない」という未来予測へ変わってしまったのです。
これは、競技スポーツに限らず現実の家庭でも起こり得る問題でしょう。
上の子が苦労した習い事や進路を、下の子には避けさせたくなる。
親からすれば「同じ苦労をさせたくない」という愛情でも、子どもからすると「まだやってもいないのに、どうして無理だと決めるの?」という痛みになります。
『メダリスト』は、このすれ違いをフィギュアスケートという競技の厳しさと重ねて描いています。
いのりと母親の対立を動かした明浦路司
いのりは、自分がどれほどスケートをやりたいのか、最初から上手に周囲へ伝えられる少女ではありません。
自信がなく、自分の気持ちを飲み込みやすいため、母親から否定されると、それ以上何も言えなくなってしまうことがあります。
そこで大きな役割を果たすのが、明浦路司です。
司は、いのりの技術だけではなく、本人が言葉にしきれないほど強く抱えている情熱を見抜きます。
母・のぞみが「失敗するかもしれない未来」を見ていたのに対し、司は「まだ試していない可能性」を見ました。
この二つの視点がぶつかることで、『メダリスト』の物語は大きく動き始めます。
姉の過去がなければ、母親の反対はここまで強いものにはならなかったかもしれません。
一方、母親が強く反対したからこそ、いのりと司が「それでも挑戦したい」と覚悟を示す場面には強い熱が生まれます。
実叶自身は、物語序盤からリンクの中央に立って戦うキャラクターではありません。
それでも、実叶の過去が第1歩目のドラマを作っているのです。
結束家は同じ歴史を繰り返すのか、それとも更新するのか
いのりの挑戦は、姉とまったく同じ道を歩くものではありません。
結束家が一度経験した挫折を、「もう二度と挑戦しない」という形で終わらせるのではなく、別の形で受け止め直していく挑戦でもあります。
実叶の競技人生では、選手本人や家族が抱える苦しさを十分に整理できないまま、競技から離れることになりました。
一方、いのりの挑戦には司という第三者が加わります。
司はいのり自身の意思や成長を見つけ、それを家族へ伝える役割まで担っています。
つまり『メダリスト』が描いているのは、「姉の無念を妹が晴らす復讐戦」ではありません。
過去の失敗を理由に未来を閉ざすのではなく、支え方そのものを変えることで、家族がもう一度夢と向き合っていく物語と見ることができます。
ここは実叶を単なる脇役として読むか、結束家の物語を支える存在として読むかで、作品の印象がかなり変わるポイントです。
大和絵馬はいのりの姉?「すず姉」鹿本すずとの違いも解説
大和絵馬は、結束いのりの姉ではありません。
大和絵馬は京都の強豪クラブ・蓮華茶FSCに所属するフィギュアスケート選手で、いのりとは友人であり、競技では順位を争うライバルです。
背が高く、おとなしい性格ですが、地道な努力を重ねている選手として描かれています。
いのりとは名古屋で1級バッジテストを受けた際に出会い、交流を深めていきます。
大和絵馬と結束いのりの関係
大和絵馬といのりには、血縁関係はありません。
二人の関係を整理すると、次のようになります。
- バッジテストを通じて知り合った
- 同じフィギュアスケートへ取り組む友人
- 大会では順位を争うライバル
- 互いの演技や成長から刺激を受ける関係
- 性格や体格は異なるが、努力を積み重ねる選手同士
いのりと絵馬は、どちらも最初から「私は誰にも負けない」と言える圧倒的な自信を持つタイプではありません。
周囲の選手と自分を比べ、悩み、それでも練習を積み重ねて少しずつ前へ進んでいきます。
そのため、二人の関係には狼嵜光とのライバル関係とは少し異なる温かさがあります。
狼嵜光が、いのりにとって「追いつきたい、倒したいほど眩しい頂点」に近い存在だとすれば、大和絵馬は同じ競技者として悩みながら前へ進める仲間と表現したほうが近いでしょう。
なぜ大和絵馬が「お姉ちゃん」と一緒に検索される?
大和絵馬には、鹿本すずという親しい選手がいます。
絵馬は鹿本すずを「すず姉」と呼び、実の姉のように慕っています。
ただし、鹿本すずも絵馬の本当の姉ではありません。
すずは絵馬を妹のようにかわいがっており、二人は非常に親しい関係です。
そのため、『メダリスト』の「姉」関連ワードは、少しややこしい構造になっています。
- いのりのお姉ちゃん:実の姉・結束実叶
- 絵馬の「すず姉」:姉のように慕っている鹿本すず
検索結果で「メダリスト お姉ちゃん」「大和絵馬 姉」「メダリスト すず姉」といった言葉が並ぶと、初めて調べる人が混乱するのも無理はありません。
しかも登場人物の名字が「結束」「大和」「鹿本」と印象的なので、人物関係を一気に覚えようとすると、頭の中の選手名簿が団体戦を始めます。
覚え方はシンプルです。
結束家の本当の姉は実叶。大和絵馬が「姉」と呼ぶ存在は鹿本すず。
この2点を分ければ、人物関係はかなり整理しやすくなります。
大和絵馬は実叶の代わりとなる「新しい姉」ではない
いのりと絵馬が仲良くなるため、「絵馬は実叶に代わる姉のような存在なのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、二人が物語の中で担っている役割は明確に異なります。
実叶は、いのりの過去・家族・スケートを始める原点と結びついている人物です。
一方の絵馬は、いのりが実際に競技の世界へ踏み出したあとに出会った、現在を共に走る選手です。
一言で表すなら、実叶が「原点」、絵馬が「並走者」。
どちらかがどちらかの代わりになるわけではありません。
違う役割を持っているからこそ、二人ともいのりの成長を語るうえで欠かせない存在になっています。
結束実叶が『メダリスト』のキーパーソンである理由を考察
結束実叶は、大会の中心に立ち続ける現役選手でも、いのりを直接指導するコーチでもありません。
それでも『メダリスト』を読み解くうえで、実叶の存在は外せません。
筆者としては、実叶は「過去に置いてきた夢」と「未来を応援できる愛情」の両方を背負った人物だと考えています。
実叶は「夢に失敗した姉」ではない
競技成績だけを極端に基準にすれば、実叶は大きな舞台へ到達する前にフィギュアスケートを辞めた選手です。
しかし、それだけを見て「失敗した選手」と呼ぶことはできません。
実叶はノービスBの中部ブロック大会で優勝するほど練習を重ねました。
そして怪我を経験し、自分自身だけではなく家族の状況も考えたうえで、別の道へ進みます。
目標へ最後まで届かなかったことと、それまで積み重ねた時間に価値がなかったことは、まったく別の話です。
何より、実叶が滑っていた姿は、幼いいのりの心に強烈なスケートへの憧れを残しました。
本人の競技人生が途中で終わったとしても、その姿が別の人の人生を動かした。
そう考えると、実叶の努力は消えたのではなく、いのりという別の形へ受け継がれたとも言えるでしょう。
これは『メダリスト』というタイトルそのものを考えるうえでも面白いポイントです。
メダルを獲得した選手だけが、誰かにとっての「特別なスケーター」になるとは限りません。
実叶は金メダリストではありません。
それでも幼いいのりにとっては、有名なトップ選手以上に身近で、誰よりも眩しいスケーターでした。
この「他人の人生を変える輝きは、必ずしもメダルの色だけで決まらない」という視点は、競技結果だけでは測れない『メダリスト』の魅力につながっているように感じます。
姉と妹は同じスケート人生を歩いていない
実叶といのりは、同じ結束家に生まれ、どちらもフィギュアスケートの世界へ入りました。
ですが、二人が歩く道は同じではありません。
実叶には実叶の競技人生があります。
いのりには、明浦路司というコーチと出会って始まった、新しい競技人生があります。
仮にいのりが将来大きな結果を残したとしても、それによって実叶の過去まで後から「成功」に書き換えられるわけではありません。
逆に、実叶が怪我によって競技を辞めたからといって、いのりまで同じ結末になるわけでもありません。
この「家族であっても人生は別々」という視点こそ、本作の家族ドラマにとって非常に大切です。
親はどうしても、上の子で経験した出来事を下の子へ重ねてしまいます。
兄弟姉妹側も、「お姉ちゃんはできたのに」「お兄ちゃんが無理だったから」と比べてしまうことがあります。
『メダリスト』では、その比較から抜け出し、「あなたはあなた自身の可能性を試していい」と考え直していく過程が丁寧に描かれています。
実叶の明るさが結束家を救っている
もし実叶が、いのりの挑戦を妬んでいたらどうなっていたでしょうか。
「私は続けられなかったのに」と反対し、妹の成功を素直に喜べない人物だったなら、結束家の物語はかなり重いものになっていたはずです。
しかし、実叶は違います。
自分がスケートを辞めた経験を、妹を止める理由にはしません。
この明るさがあるからこそ、実叶の過去は「結束家を永遠に縛り続ける出来事」だけにはならずに済んでいます。
実叶本人がいのりを肯定している。
だからこそ母・のぞみも、「実叶と同じことになる」という思い込みだけで未来を決めるのではなく、少しずついのり自身を見る方向へ変わっていく余地が生まれます。
実叶は、いのりにスケートへの憧れを与えただけではありません。
自分の挫折を理由に、妹の未来を奪わなかった人でもあるのです。
文章にすると当たり前のように聞こえますが、実際には簡単なことではありません。
身近な相手が、自分が届かなかった場所へ進んでいく。
その状況で相手の未来を心から応援できること自体が、実叶の人間的な魅力だと感じます。
実叶・のぞみ・いのりは「同じ出来事」を別々に見ている
もう一歩踏み込んで考えると、結束家の面白さは、実叶の引退という一つの出来事を三人がそれぞれ違う意味で受け止めていることにあります。
実叶にとっては、自分自身の競技人生の終わりです。
母・のぞみにとっては、「娘に大きな負担をかけ、怪我までさせてしまった」という恐怖につながる出来事です。
そして、いのりにとっては「大好きな姉が滑っていた」という憧れと、「夢は途中で終わることもある」という現実が同居する記憶です。
同じ過去でも、受け止め方は三者三様。
ここが非常に重要です。
『メダリスト』では「過去そのものを変える」のではなく、過去をどう捉え直すかによって未来が変わる構造になっています。
実叶は過去を妹の足かせにしない。
司はいのりの現在の可能性を見る。
そして母・のぞみも、少しずつ「過去と同じ未来になるとは限らない」と学んでいく。
筆者としては、結束家のドラマはフィギュアスケート漫画としてだけでなく、「家族が過去の失敗からどう立ち直るか」という物語として読んでも非常に味わい深いと感じています。
今後も結束実叶の存在が重要になる理由
いのりが競技者として成長すればするほど、実叶の存在には新しい意味が加わっていくと考えられます。
物語の初期では、いのりが一方的に憧れる相手が実叶でした。
しかし、いのりが大会で結果を残し、より高い舞台へ進んでいけば、競技実績という意味ではいつか姉を上回る可能性もあります。
そのとき注目したいのは、「妹が姉を超える」という単純な勝ち負けではありません。
姉妹の関係がどう変化するのかです。
実叶は、妹に追い越されることを恐れるタイプには見えません。
むしろ、自分が幼いいのりへ見せたスケートをきっかけに、妹が自分の想像以上の場所まで進んでいくことを喜べる人物だと考えられます。
かつて「憧れられる選手」だった姉が、やがて妹を見守る最も熱心な観客になる。
この関係性があるからこそ、『メダリスト』は大会結果や技の成否だけではない、温かな家族ドラマとしても楽しめるのです。
まとめ:『メダリスト』いのりの姉は結束実叶
『メダリスト』で、主人公・結束いのりの姉は結束実叶(ゆいつか・みか)です。
結束のぞみは姉ではなく、いのりと実叶の母親。また、大和絵馬はいのりの友人兼ライバルであり、血のつながった姉ではありません。
実叶は、かつて名城クラウンFSCに所属したフィギュアスケート選手で、ノービスBの中部ブロック大会で優勝した経験を持っています。
しかし、ジャンプ練習中の骨折をきっかけに競技生活が変化し、家族が背負っていた負担も考えながらスケートから離れました。
この経験は母・のぞみに強い不安を残し、いのりがスケートを始めようとした際の反対にもつながっています。
一方、実叶自身は、自分が競技を断念したことを理由に妹の夢まで否定してはいません。
- いのりの姉は結束実叶
- 結束のぞみは姉ではなく母親
- 実叶はフィギュアスケートの元選手
- 名城クラウンFSCに所属していた
- ノービスBの中部ブロック大会で優勝経験がある
- ジャンプ練習中の骨折が競技断念の直接的なきっかけ
- 家族への負担も、スケートから離れる選択に関係している
- 実叶の過去が母・のぞみの反対につながった
- いのりは姉に憧れてスケートへ興味を持った
- 大和絵馬はいのりの友人でありライバル
- 絵馬が「すず姉」と呼ぶ鹿本すずも実の姉ではない
いのりの挑戦は、単に「姉がかなえられなかった夢を代わりにかなえる」物語ではありません。
姉から受け取った憧れを、いのり自身が自分の夢へと育てていく物語です。
そして結束実叶は、スケート選手として氷の上を離れたあとも、いのりにとっての原点であり続けます。
過去の挫折によって閉じかけた結束家の未来を、もう一度開いていく。
その意味で実叶は、出番の量だけでは測れない『メダリスト』の重要なキーパーソンなのです。
よくある質問
『メダリスト』でいのりの姉の名前は?
いのりの姉の名前は、結束実叶(ゆいつか・みか)です。
いのりより8歳年上の元フィギュアスケート選手で、幼いいのりがスケートへ憧れるきっかけを作った人物です。
結束実叶は何歳年上ですか?
結束実叶は、いのりより8歳年上です。
そのため、いのりが幼い頃にはすでに競技者として氷の上で滑っており、妹から強く憧れられる存在でした。
結束のぞみはいのりの姉ですか?
いいえ。結束のぞみは姉ではなく、いのりと実叶の母親です。
実叶の怪我と競技断念を間近で経験したため、当初はいのりがフィギュアスケートへ本格的に取り組むことに強い不安を抱いていました。
結束実叶はなぜフィギュアスケートを辞めたのですか?
直接のきっかけは、ジャンプ練習中の骨折です。
加えて、競技を支えていた母親や家族の負担を実叶自身が感じ取ったことも、スケートから離れる選択に影響したと考えられます。
結束実叶はフィギュアスケートで強かったのですか?
実叶は名城クラウンFSCに所属し、ノービスBの中部ブロック大会で優勝した経験があります。
単に趣味で滑っていた姉ではなく、競技者として結果を残していたからこそ、幼いいのりにとって強い憧れの対象になりました。
大和絵馬はいのりのお姉ちゃんですか?
いいえ。大和絵馬はいのりの姉ではありません。
蓮華茶FSCに所属する選手で、いのりとはバッジテストをきっかけに知り合った友人であり、同じ競技の舞台で成長していくライバルです。
大和絵馬が「すず姉」と呼んでいるのは誰?
絵馬が「すず姉」と呼んでいるのは、同じ蓮華茶FSCの鹿本すずです。
二人は実の姉妹ではなく、すずが絵馬を妹のようにかわいがっている親しい関係です。
いのりがフィギュアスケートを始めたのは姉のためですか?
姉・実叶のスケート姿が憧れの原点になったことは確かですが、いのりは実叶の夢を代わりにかなえるためだけに滑っているわけではありません。
司と出会い、練習と大会を経験するなかで、スケートはいのり自身が選んだ夢になっています。この点を意識すると、姉妹の関係といのりの成長がより深く見えてきます。



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