ガチアクタ原作・作者「裏那圭」の魅力とは？代表作と制作エピソード紹介

週刊少年マガジンで連載中の『ガチアクタ』は、アクションとファンタジーが融合した異色の漫画として注目を集めています。

その原作を手掛ける裏那圭（うらな けい）氏は、独自の構図やキャラクターデザインで「次にくるマンガ大賞」ノミネート作品にまで育て上げました。

本記事では、『ガチアクタ』の魅力に迫ると共に、裏那圭氏の過去作品や制作エピソード、創作スタイルなど、漫画家としての核心に迫ります。

『ガチアクタ』が読者を惹きつける理由

週刊少年マガジンで連載中の『ガチアクタ』は、連載開始から瞬く間に話題となり、「次にくるマンガ大賞」ノミネート作品としても注目を浴びています。

その魅力の核心には、作者・裏那圭（うらな けい）氏の卓越した構図演出と感情豊かなキャラクター表現があります。

ここでは、読者が思わず引き込まれる理由を、具体的な制作技法と創作思想をもとに深掘りしていきます。

独創的な構図とアングルで生まれる臨場感

裏那氏が構図を描く際に最も重視しているのは「描きやすさに逃げない」こと。

ありきたりなアングルを避け、たとえば斜め横顔でも微妙に角度を変えることで、コマごとに鮮烈な印象を与えています。

戦闘シーンでは、アニメや映画から着想を得つつも、「見たことのない構図」に挑むことで、読者に圧倒的な臨場感を届けています。

キャラクターの「人間味」に込めた作者の想い

『ガチアクタ』の主人公・ルドは、怒りや照れなど多面的な感情を持ち、人間らしさが際立つキャラクターです。

もともとはクールな設定だったものの、裏那氏は「子供としての成長途中の不器用さ」を描くことで、よりリアルな存在感を生み出しました。

自身の子ども時代を投影しながら、「良かれと思って怒られる」という経験をルドに反映することで、読者が共感しやすい心理描写を構築しています。

裏那圭流・戦闘シーンの描き方とアクション演出

アクション描写は、派手さだけでなく、リアリティを持たせることに重点が置かれています。

裏那氏はアクションを描く際、自分自身でジャンプしてポーズを確認したり、可動式フィギュアを活用して実際の動きに即した構図を作り出しています。

これにより、物理的な説得力を持ったバトルが実現し、読者をまるでその場にいるような感覚に導きます。

このように、『ガチアクタ』は構図・感情・動きの3要素が巧みに融合した作品です。

作者・裏那圭氏の圧倒的な表現力と創作に対するこだわりが、多くの読者の心を掴んで離さない理由といえるでしょう。

代表作と注目ポイント：『脳枷』『獅鬼童』から『ガチアクタ』へ

裏那圭（うらなけい）先生は、人間の感情をテーマにした作品を得意とし、その独特な表現力で読者の心を掴んでいます。

デビュー作『脳枷』から『獅鬼童』を経て、連載作品『ガチアクタ』に至るまで、作風と構成力が着実に進化しています。

各作品はそれぞれの時期の裏那先生の“心の叫び”が反映されており、読むごとにその背景に触れることができます。

怒りをテーマに描いたデビュー作『脳枷』

裏那先生が2018年にMGP（マガジングランプリ）へ応募し、入選したのがデビュー作『脳枷』です。

この作品は、当時の職場で理不尽な上司から受けた怒りをもとにしたもので、「やればできるんだよぉぉ!!」というセリフに裏那先生自身の叫びが込められています。

身近な怒りを物語に昇華する力こそ、裏那作品の原点といえるでしょう。

感情の起伏を表現した『獅鬼童』

続いて2019年の新人漫画賞で入選を果たした『獅鬼童（しきどう）』は、感情の揺れや葛藤をより繊細に描いた作品です。

『脳枷』が怒りをストレートに表現していたのに対し、本作では怒りと哀しみが交差する複雑なキャラクター性が光ります。

キャラクターの内面を深掘りし、アクションと感情のバランスを保った作品で、裏那先生の表現の幅を広げた重要な一作です。

構想と進化が詰まった『ガチアクタ』誕生秘話

2022年から週刊少年マガジンで連載が始まった『ガチアクタ』は、裏那先生にとって初の長期連載作品です。

「最後までしっかり考えて構成した初めての物語」であり、ストーリー、構図、演出すべてにおいて彼女の集大成的な要素が詰まっています。

また、キャラクターの衣装や動きにも緻密な工夫が施されており、「とにかくカッコいい！」と多くの読者を虜にしました。

裏那圭先生の創作は、“描きたい感情を正直に描くこと”を軸に進化してきました。

その道のりは、まさに感情を武器に物語を創るという新時代の漫画家像を象徴しています。

制作の裏側にある「遊び心」と「こだわり」

『ガチアクタ』が他の作品と一線を画すのは、シリアスな物語と裏那圭先生独自の遊び心が融合しているからです。

一見シリアスなアクション・ファンタジーでありながら、背景の片隅に小さな“いたずら”が潜んでいる。

そして、衣装や演出に至るまで、細部への深いこだわりが込められています。

背景にこっそり忍ばせる“うんこ”の意味とは

裏那先生の作品には、背景の片隅に“うんこ”の絵がこっそり描かれていることがあります。

これは単なるギャグではなく、制作の苦しさを和らげる「癒し」として描いているとのこと。

週刊連載という厳しいスケジュールの中でも、「遊び心を忘れないように」という裏那先生の哲学が詰まっています。

「原稿の端っこに“うんこ”を描いて、自分に『まあ、楽しもう』って言ってる感じです（笑）」

衣装デザインに込めた組織ごとの差別化

『ガチアクタ』の魅力のひとつは、キャラクターの衣装デザイン。

裏那先生は所属する組織やキャラの性格に応じて衣装の違いを明確に描き分けています。

たとえば、和風スタイルを基調としたザンカは、育ちの良さと冷静さを視覚的に表現。

一方で主人公ルドの服は、少年らしい動きやすさとやんちゃさを反映したラフなデザインになっています。

このような視覚情報による物語補完は、読者の没入感を高める上で非常に有効です。

プロットよりも感情を優先するストーリーテリング

裏那先生の創作スタイルの中核にあるのは、「感情を描くこと」です。

ストーリーを緻密に作り込むというよりも、まず“今描きたい感情”を物語にぶつけることを大切にしています。

読み切り時代は「オチが考えられなかった」と語るほど、感情先行型のストーリー制作スタイル。

連載の『ガチアクタ』でも、最初に構想したのは“描きたい敵”や“感情の爆発”の場面だったと明かしています。

「まず心の叫びをぶつけて、そこから話を広げていく。それが自分のやり方です」

だからこそ、登場人物の一言一言がリアルで刺さり、読者の心に深く残るのです。

裏那圭先生の作品は、緻密な設計よりも“人間のリアル”を描くことに主眼を置いています。

それが、遊び心を持ちながらも芯のある作品づくりへとつながっているのです。

“怒り”と“遊び心”で描く世界観——裏那圭と『ガチアクタ』の魅力を総まとめ

『ガチアクタ』の作者・裏那圭先生は、怒りや哀しみといった複雑な感情を力強く表現する作風で注目を集める若手漫画家です。

一方で、背景に“うんこ”を忍ばせるほどの遊び心も忘れない、自由で柔軟な感性の持ち主でもあります。

ここでは、裏那圭先生が読者を惹きつける理由と、漫画家志望者に贈るメッセージを紹介します。

読者を魅了する理由は“好き”に忠実な創作姿勢

裏那先生の作品には常に、「自分が描きたいものを描く」という信念が貫かれています。

物語づくりの原点には、日常で感じた怒りや違和感、または純粋な「カッコいい！」という感覚があり、それを正直に漫画に落とし込むことで、読者と深く共鳴する作品を生み出しています。

とくに連載作『ガチアクタ』では、明確なプロットよりも、「この敵が描きたい」「この場所を描きたい」という感情優先のスタイルで物語を構築。

「読者を楽しませるには、まず自分が楽しんで描かないと」

この姿勢こそが、熱量のある作品を生み出す鍵となっているのです。

漫画家志望者に伝えたいメッセージとは

裏那先生は、新人漫画家や漫画家志望者に対しても温かく、実感のこもったメッセージを送っています。

特に印象的なのは、「練習しなきゃ、と思わず、好きなものを描く過程で必要なことを覚えればいい」というスタンス。

「描けなくなったら、関係ないクリーチャーとか変なもの描いてもいい。描くこと自体を楽しんでほしい」とも語り、創作における精神的な柔軟さを大切にしています。

漫画家を目指す人にとって、裏那先生の生き方そのものが、強くて優しい道しるべになるはずです。