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『ふつつかな悪女ではございますが』ネタバレあらすじ総まとめ|『雛宮蝶鼠とりかえ伝』の物語を整理

黄玲琳と朱慧月が背中合わせに立ち、華やかな雛宮と星空を背景に蝶と鼠を思わせる意匠が舞う中華ファンタジー風の場面 未分類

『ふつつかな悪女ではございますが』原作小説1〜12巻は、入れ替わりから玲琳の病弱さの原因と呪いの可能性へ迫る物語です。

2026年9月14日時点で原作小説は第12巻まで発売済み。第13巻は2026年9月30日発売予定で、本編クライマックスとなる最終幕「星に願いを。」編が始まることが一迅社から告知されています。

この記事では、黄玲琳と朱慧月の最初の入れ替わりから、朱雅媚の陰謀、豊穣祭、鑽仰礼、皇帝との対立、金領の麻薬事件、12巻で浮上する玲琳の命の問題まで、原作小説1〜12巻の結末をネタバレありで順番に整理します。

『ふつつかな悪女ではございますが』原作小説1〜12巻のネタバレあらすじは?

1〜12巻を一言でまとめると、玲琳の人生を奪うために始まった「入れ替わり」が、最後には玲琳の命を救うための鍵へ変わっていく物語です。

最初は黄玲琳と朱慧月の二人を中心とした後宮の事件ですが、巻を重ねるごとに五家の雛女、皇帝、隣国、各家の過去まで物語が広がっていきます。

まずは「何巻で何が起きるのか」を整理しておきましょう。

原作小説 幕・主な舞台 主な出来事
1〜2巻 最初の入れ替わり事件 玲琳と慧月が入れ替わる。朱雅媚の陰謀と皇后を巡る事件へ
3〜4巻 第二幕「はじめての外遊」 朱領の豊穣祭、誘拐、邑の疫病、雲嵐の危機
5〜6巻 第三幕「陰謀だらけの鑽仰礼」 五家の雛女による中間審査、玲琳襲撃、玄歌吹の復讐
7巻 第四幕「お忍び城下町」 城下町で入れ替わり解消を図る。皇帝の道術への疑念が強まる
8〜9巻 第五幕「道術我慢の鎮魂祭」 慈粥礼、丹關、皇帝・弦耀と道術を巡る25年前の因縁
10〜11巻 第六幕「絢爛豪華! 金領」 ナディール来訪、麻薬事件、天香閣潜入、琴瑶と清佳の過去
12巻 第七幕「雨の黄家帰省」 黄家への帰省、慧月と景彰、辰宇の過去、玲琳の病弱さの核心へ
13巻 最終幕「星に願いを。」 2026年9月30日発売予定。既刊ではなく発売前

ここで注意したいのは、13巻はこの記事を書いている2026年9月14日時点ではまだ発売されていないことです。

一迅社公式で確認できるのは「9月30日発売」と「本編クライマックスとなる最終幕が始まる」というところまで。したがって、13巻が最終巻なのか、玲琳が最終的に助かるのかはまだ確定していません。

1〜2巻|玲琳と慧月はなぜ入れ替わった?

舞台は詠国の後宮にある「雛宮」。

ここでは五つの名家から選ばれた雛女たちが、皇太子・詠尭明の妃候補として暮らしています。

その中でも黄家の雛女・黄玲琳は、美貌、教養、人柄を兼ね備え、「殿下の胡蝶」と呼ばれる存在でした。

ただし玲琳には、大きな問題があります。

幼い頃から極端に身体が弱く、常に死を身近に感じながら生きてきたことです。

一方、朱家の雛女・朱慧月は周囲から「悪女」と見られ、玲琳と比べられながら強烈な劣等感を抱えていました。

慧月が持っていた唯一無二の才能が、父の遺した書物から学んだ道術です。

慧月はその道術を使い、玲琳と自分の身体を入れ替えます。

しかも玲琳を高所から突き落とした直後だったため、慧月の身体で目覚めた玲琳には「黄玲琳を害した悪女」という立場まで押しつけられていました。

普通の入れ替わり作品なら、ここから主人公は「早く身体を返して」と必死になります。

ところが玲琳は違います。

慧月の健康な身体で立ち上がり、歩き、働き、食事をし、身体を動かせることに感動してしまうんです。

人生を奪われた悲劇より、「健康なら、こんなにも色々なことができる」という喜びのほうが先に来る。

この強烈な価値観こそ、本作のスタート地点です。

しかし玲琳の明るさは、単なる能天気さではありません。

明日まで生きられる保証がない生活を続けてきたからこそ、「今日できること」を最大限楽しもうとする生存哲学が身についています。

その生き方は、慧月付きの女官・莉莉をはじめ、慧月を嫌っていた周囲の人々まで少しずつ変えていきます。

逆に玲琳の身体へ入った慧月は、自分が理想視していた「黄玲琳」の現実を思い知らされます。

美しく、愛され、何でも持っているように見えた玲琳は、実際には何もしなくても恵まれていたわけではありません。

普通に起きること。

食べること。

歩くこと。

笑顔を保つこと。

慧月にとって何気なかった日常の一つ一つが、玲琳の身体では大仕事でした。

玲琳の強さは苦しみがなかったからではなく、苦しいまま他人を思いやることを選び続けた結果だった。

慧月は玲琳の身体で暮らしたからこそ、それを知ることになります。

朱雅媚は何を企んでいた?

やがて玲琳付きの筆頭女官・冬雪らも、二人の様子がおかしいことに気づき始めます。

そして入れ替わり事件の背後に浮かび上がるのが、慧月の後見人である朱貴妃・朱雅媚です。

ここは「黒幕=慧月」とだけ覚えると、本作の構造を見誤ります。

玲琳と入れ替わる道術を実行したのは慧月本人であり、玲琳への嫉妬も慧月自身の感情でした。

しかし雅媚は、その劣等感につけ込み、慧月を玲琳排除へ向かわせます。

雅媚の本当の標的は、皇后であり玲琳の身内でもある黄絹秀

玲琳が普段から行っていた健康管理や衛生への気配りが、結果として雅媚の企みにとって邪魔な存在になっていました。

だからこそ、雅媚は玲琳を雛宮から排除したかったわけです。

事件が進むにつれ、玲琳と慧月は「被害者と加害者」のままではいられなくなります。

玲琳は慧月を一方的に断罪せず、慧月もまた、自分が憎んでいた玲琳の本当の姿と向き合っていく。

最終的に二人は協力して事件へ立ち向かい、最初の入れ替わりは解消されます。

ただし、元に戻ったから関係も元通りになるわけではありません。

むしろここからが本当の始まりです。

慧月にとって玲琳は「奪えば自分も幸せになれる理想」ではなくなり、玲琳にとって慧月は、自分へ遠慮なく感情をぶつけてくれる特別な存在になっていきます。

※画像はAIによるイメージ

3〜7巻はどうなる?豊穣祭・鑽仰礼・城下町編をネタバレ

3〜7巻では、玲琳と慧月だけの物語から五家の雛女による群像劇へ拡大します。同時に「入れ替わり」は相手を奪う術から、互いを助けるための術へ変化していきます。

3〜4巻|第二幕「はじめての外遊」

第二幕の中心となるのは、豊作を祈る豊穣祭です。

開催地は朱家の領地。

最初の事件で大きく信用を失った慧月にとって、朱家の名誉を挽回する重要な機会でもありました。

玲琳は当然のように慧月を応援しますが、豊穣祭の準備は妨害され、慧月の道術も暴走。

二人は再び入れ替わってしまいます。

さらに事件は祭りの失敗だけでは終わりません。

玲琳は誘拐され、邑で起こっていた問題に巻き込まれます。

疫病まで発生し、邑の頭領・雲嵐も重傷を負うなど、玲琳たちは「自分たちが無事ならいい」という状況ではなくなっていきます。

この第二幕で重要なのは、玲琳の弱点が見えてくることです。

彼女は自分が死ぬ可能性については驚くほど冷静なのに、目の前の人が命を落としそうになると激しく取り乱します。

つまり玲琳の強さには、他人の命は大切にするのに、自分自身の命だけは同じ重さで扱えていないという歪みがあります。

その一方で、玲琳の身体にいる慧月も成長します。

雛女たちとの茶会を開き、自分から人間関係を築き、問題の解決へ動く。

最初は「玲琳になれば愛される」と考えていた慧月が、玲琳の姿を借りながらも、自分自身の知恵と道術で人を助けるようになるわけです。

第二幕の結末は、単なる豊穣祭の成功ではありません。

朱慧月が「黄玲琳にならなくても、自分にはできることがある」と知り始める章だと僕は感じます。

5〜6巻|第三幕「陰謀だらけの鑽仰礼」

続く第三幕では、五家の雛女の中間審査である鑽仰礼が開催されます。

黄玲琳、朱慧月だけでなく、金清佳、藍芳春、玄歌吹が本格的に物語の中心へ入ってきます。

鑽仰礼では複数の課題が出され、皇帝や国の重鎮が雛女を直接評価します。

本人が序列に興味を持っていなくても、各家の名誉や将来が懸かっているため、周囲にとっては非常に重い行事です。

そんななか、玲琳自身が何者かに狙われ、命の危険にさらされます。

そして慧月が玲琳を助ける過程で、二人は再度入れ替わることに。

さらに玄歌吹の強い殺意と「凶行」の理由も明らかになります。

歌吹が抱えていたのは、姉を巡る過去と復讐心でした。

その背景には、雛宮内の権力や妃たちの思惑だけでなく、祈禱師・安妮を中心とする不正も絡んでいます。

ここで玲琳が選ぶのは、相手を秘密裏に消す復讐ではありません。

五家の雛女たちが協力し、不正を公の場で暴き、正当な形で責任を取らせるという方法です。

結果として、対立していたはずの雛女たちが共通の目的のため手を組みます。

僕が第三幕をシリーズの大きな転換点だと思う理由はここです。

序盤では、玲琳と慧月の入れ替わりを知ること自体が危険でした。

ところがこの頃になると、秘密を共有する人が増え、五人の雛女が単なる「皇太子妃の座を争うライバル」ではなくなっていきます。

そして玲琳と慧月も大喧嘩をします。

原因は嫌いになったからではありません。

慧月が、玲琳の自己犠牲的な行動を許せなくなったからです。

第1巻の慧月なら、玲琳が危険な目に遭っても知ったことではなかったはず。

それなのに今は、「どうして自分の命を大切にしないの」と怒る。

喧嘩できるほど相手を大切に思うようになった。

この変化が、二人の関係をものすごく分かりやすく表しています。

7巻|第四幕「お忍び城下町」

第7巻では、慧月が道術遣いだと知られる危険を避けるため、玲琳たちは雛宮の外で入れ替わりを解消しようとします。

舞台となるのが城下町です。

玲琳にとって、自由に町を歩き、店を見て、屋台を楽しむという普通の経験さえ特別なもの。

病弱だった彼女にとって、「外を自分の足で歩く」というだけで世界が一気に広がります。

皇太子・尭明との距離が近づくのもこの章の見どころです。

尭明は玲琳を守りたい。

しかし健康な慧月の身体に入った玲琳は、守られるより先に自分で飛び出してしまう。

このすれ違いは微笑ましく見える一方、尭明側にも「玲琳を本当に理解するとはどういうことか」という課題を突きつけます。

そして第四幕の裏で、もっと危険な問題が進行します。

皇帝・弦耀が「雛女の中に道術遣いがいるのではないか」と疑い始めるのです。

ここから敵は、雛宮内で陰謀を企てる誰かだけではありません。

国の最高権力者そのものに、慧月の秘密を知られないよう動かなければならない。

物語の規模が一段上がります。


8〜9巻の結末は?皇帝・弦耀と道術を巡る因縁をネタバレ

8〜9巻では、皇帝が道術を敵視する理由が25年前の悲劇にまで遡って明かされます。玲琳たちは皇帝と戦うのではなく、その憎しみの根を解きほぐす方向へ進みます。

8巻|慧月は皇帝に監視される

皇帝・弦耀は慧月を警戒し、道術遣いである証拠を得ようとします。

そこで雛女たちに命じられるのが、民へ粥を施す慈粥礼です。

玲琳たちは国境沿いへ送られ、慧月の身体に入った玲琳はほかの雛女たちから引き離されます。

極限状態に追い込めば、道術を使わざるを得なくなる。

玲琳たちから見れば、そう警戒せざるを得ない状況です。

さらにアキムによる凶行なども重なり、一行は危険な状況へ追い込まれます。

ただし玲琳たちはそこで終わりません。

危機を跳ね返し、皇帝・弦耀が道術へ異常なほど強い敵意を持つ理由へ接近していきます。

9巻|「二十五年前の因縁」はどう決着する?

第9巻では舞台が国境の丹關へ。

ここで焦点になるのが、皇帝・弦耀と道術にまつわる「二十五年前の因縁」です。

弦耀にとって、入れ替わりの術は単なる珍しい術ではありません。

過去の大切な人物と結びついた深い傷そのものでした。

そのため彼は道術を「危険な力」として一括りにし、慧月の存在も警戒します。

しかし玲琳は、慧月の道術が誰かを傷つけるためだけのものではないことを示そうとします。

ここで重要になるのが、まさに入れ替わりの術そのものです。

第1巻では嫉妬から玲琳の人生を奪うために使われた術が、皇帝の過去と向き合い、長年止まっていた問題を動かす鍵に変わります。

最終的に第五幕は、皇帝が抱えてきた25年前の因縁に一つの決着をつけるところまで進みます。

慧月にとってもこれは非常に大きな意味を持ちます。

かつて自分を嫌い、「玲琳になりたい」と願って道術を使った少女が、今では「朱慧月の道術」を他人に認めさせる段階まで来たからです。

入れ替わりを隠すだけだった物語から、能力そのものをどう社会の中で扱うのかというテーマへ。

シリーズが後宮の人間関係だけでなく、価値観そのものの衝突へ進んだ章でした。


10〜12巻はどうなる?金領事件から玲琳の病弱さの秘密までネタバレ

10〜12巻では金領の麻薬事件が具体的な決着を迎え、その後の黄家帰省で物語の焦点が「玲琳はなぜこれほど病弱なのか」へ戻ります。

10巻|ナディール来訪と金領の麻薬事件

第六幕の舞台は、金家領の港町飛州

隣国・西琉巴王国から第一王子ナディールが訪れ、金清佳、黄玲琳、朱慧月の三人が国賓を迎えることになります。

ナディールは派手好きで、初対面から雛女たちのもてなしへ難癖をつける人物。

当然、仲間を侮られて黙っている玲琳ではありません。

三人はそれぞれの得意分野を生かしてナディールをもてなし、国賓歓待という表の課題を成功させます。

ところが、その裏で進んでいたのが麻薬を巡る事件でした。

夜市で玲琳たちは危険な騒動へ巻き込まれ、玲琳と慧月は入れ替わりを利用して窮地を脱します。

つまり10巻の結末は「王子を無事にもてなして終了」ではありません。

歓待自体には成功するものの、夜市で起きた事件から、金領の内部にもっと大きな犯罪の流れが存在すると分かり、捜査は次巻の天香閣へ続きます。

ここで光るのが金清佳です。

これまでは誇り高く、玲琳や慧月と衝突することもあった彼女が、故郷で起きた問題へ当事者として向き合います。

玲琳と慧月の物語に清佳が「協力者として参加する」のではなく、清佳自身の章へ二人が入っていく構造になっているのが金領編の面白さです。

11巻|天香閣の黒幕と琴瑶の結末

第11巻では、玲琳、慧月、清佳が麻薬事件の証拠をつかむため、高級妓楼「天香閣」へ潜入します。

一迅社公式の紹介でも、天香閣が事件の黒幕へつながる拠点として扱われ、妓楼の頂点に立つ「天花」が清佳のかつての幼なじみ・琴瑶であることが明かされています。

ここから金領編は、一気に清佳と琴瑶の物語になります。

琴瑶はただの「黒幕側の女」ではありません。

幼い頃に清佳と縁がありながら、現在は天香閣の中心人物として複雑な立場に置かれていました。

調査を進めた玲琳たちは、麻薬「贅瑠」が天香閣を通じて広がっている実態へ迫ります。

事件の背景には、ナディールの政敵であるザインが資金を得るため贅瑠を流通させる構図があり、天香閣の人間もそこへ組み込まれていました。

玲琳は慧月の身体を利用して下働きとして情報を集め、慧月や清佳もそれぞれ別の角度から証拠へ接近。

やがて事件関係者の不正が表面化し、逃走や証拠隠滅を含む最後の抵抗も、玲琳たち、ナディール側、尭明たちの連携によって抑え込まれていきます。

しかし、金領編は「悪人を捕まえて全員笑顔」という結末ではありません。

薬物の影響を受けていた琴瑶は救い切れず、清佳との関係に大きな喪失を残します。

ここが11巻を単なる潜入捜査ものにしていない部分です。

清佳は、自分の誇りや立場を守るだけだった雛女から、「取り戻せないものを抱えながら、それでも前へ進む人」へ変わります。

第六幕の事件自体には決着がつきます。

けれど、何もなかった頃には戻れない。

僕はこの苦さがあるからこそ、金領編がシリーズ中盤以降で強く印象に残る章になっていると感じます。

12巻|玲琳の病弱さは「呪い」なのか?

金領事件を終え、王都へ戻る玲琳たち。

ところがこの時点で、玲琳と慧月はまだ入れ替わったままです。

玲琳の身体にいる慧月は、玲琳の状態を心配し、「気が足りず、今は入れ替わりを解消できない」と嘘をつきます。

慧月にとっては珍しい種類の嘘です。

自分を守るためではなく、玲琳の身体を守るためについた嘘だからです。

そこから一行は玲琳の故郷である黄家へ寄り道します。

入内以来の玲琳の帰還に黄家は大騒ぎ。

慧月は玲琳の身体のまま、その家族、育った環境、そして「黄玲琳」という人間がどう作られたのかを内側から知ることになります。

ここでは、玲琳の母親を巡る問題も重要です。

玲琳はただ病弱だっただけではありません。

周囲から求められる姿や、母の影、自分がどうあるべきかという価値観まで背負ってきました。

一方で、玲琳の病弱さそのものにも決定的な違和感が生まれます。

玲琳本人が玲琳の身体にいるときと、慧月が玲琳の身体にいるときで、身体の状態が違う。

もし純粋な体質や身体的な病気だけが原因なら、魂が入れ替わっただけで症状の出方が大きく変化するのは不自然です。

そのため12巻では、玲琳の病弱さについて、身体だけでなく魂や「黄玲琳」という存在に結びついた呪いではないかという方向へ疑いが強まります。

ただし、ここは13巻発売前の時点で最終的な仕組みまで解明・解決されたわけではありません。

確実に言えるのは、12巻で「玲琳は生まれつき身体が弱いから仕方ない」という前提そのものが崩れ始めたことです。

つまり玲琳の病弱さは、単なる主人公設定ではなくなりました。

最終幕で解かなければならない、シリーズ最大級の謎へ昇格した。

これが12巻の重要な到達点です。

さらに12巻では、慧月と玲琳の兄・黄景彰の関係も大きく動きます。

慧月は景彰への感情を自覚していき、景彰側も慧月を強く意識していることが分かる展開があります。

しかし慧月には、玲琳の命を守るため入れ替わった状態を維持しているという秘密があります。

自分の恋心を優先すれば玲琳を危険にさらすかもしれない。

玲琳を守れば、自分自身の未来を後回しにすることになる。

第1巻では玲琳の人生を奪おうとした慧月が、12巻では玲琳のために自分の人生を差し出しかねないほど変わっている

この反転は、12巻まで通して読むと本当に大きいです。

※画像はAIによるイメージ

黒幕は誰?入れ替わりの意味と13巻以降の結末を考察

最初の入れ替わり事件では朱雅媚が慧月を利用しますが、シリーズ全体に一人だけの「最終黒幕」がいるとは12巻時点で断定できません。むしろ各幕で異なる人間の執着や過去が事件を生み、その中心を玲琳と慧月が通り抜けていく構造です。

まず整理しておきたいのは、慧月の責任と朱雅媚の責任です。

慧月は自分の意思で道術を使い、玲琳の身体を奪いました。

その選択自体を「全部、雅媚に操られただけ」と処理することはできません。

一方で、雅媚が慧月の劣等感を刺激し、自分の目的へ利用していたことも事実。

だから本作は、「真の黒幕が分かったので慧月は悪くありません」という単純な救済にはしません。

罪を認めた上で、その人がその後どう変わるのか。

そこまで描くから慧月の成長に説得力があります。

そして12巻まで読むと、シリーズを貫くもう一つの軸が見えてきます。

それが「入れ替わりの意味の変化」です。

  • 第1巻では、慧月が玲琳の人生を奪うための術
  • 最初の事件では、相手の苦しみを身体で知る理解の装置
  • 豊穣祭以降は、危機を乗り越えるための協力手段
  • 皇帝との対立では、道術への偏見を覆すための証明
  • 金領では、事件を突破するための実戦的な武器
  • 12巻では、玲琳の命をつなぐ可能性を持つ救命の鍵

同じ「身体を交換する」という設定なのに、巻を重ねるごとに意味が変わっています。

この構造はかなり巧いです。

「また入れ替わった」で終わるのではなく、入れ替わり方を見るだけで、玲琳と慧月が今どんな関係なのか分かるようになっています。

最初は奪うためだった。

今は守るために入れ替わったままでいようとしている。

この反転だけでも、慧月がどれほど遠くまで来たのか伝わります。

一方、玲琳の成長は少し分かりにくいです。

なぜなら玲琳は第1巻から優しく、聡明で、前向きだから。

一見すると最初から完成した主人公に見えます。

でも僕は、玲琳の最大の弱点は病弱さそのものではなく、自分の命に執着できないことだと考えています。

玲琳は死を恐れない。

それは格好いい強さに見えます。

ただ、慧月や尭明、家族、雛女たちが玲琳を大切にするようになるほど、「自分が死ぬことを静かに受け入れる」という姿勢は周囲にとって残酷なものへ変わっていきます。

玲琳は他人に「生きてほしい」と願える。

では、自分自身には同じことを願えるのか。

最終幕の本当のゴールは、玲琳を医学的・道術的に助けることだけではないのではないでしょうか。

玲琳本人が「死んでも仕方ない」ではなく、「私は生きたい」と望めるか。

ここに第1巻からの主人公の成長が収束すると、僕は見ています。

13巻「星に願いを。」では何が起きる?

2026年9月14日時点で確定しているのは、第13巻が2026年9月30日に発売予定であること、そして最終幕「星に願いを。」編が始まることです。

13巻がそのまま最終巻であるとは、現時点では断定できません。

ここから先は12巻までを踏まえた考察です。

最終幕の中心になる可能性が高いのは、玲琳の病弱さと呪いの問題でしょう。

12巻で「身体が弱い」という説明だけでは収まらない現象が前面に出てきた以上、玲琳が長年苦しめられてきた原因を突き止める流れは避けにくいと考えられます。

そしてタイトルが「星に願いを。」なのも印象的です。

この物語はそもそも、星が輝く夜の入れ替わりから大きく動き始めました。

最初に願ったのは、玲琳になりたかった慧月です。

けれど今の慧月が願うとすれば、おそらく「玲琳になりたい」ではありません。

黄玲琳を黄玲琳のまま生かしたい。

そこまで変わったこと自体が、慧月の物語の答えになっています。

玲琳と尭明は結ばれる?

ここも、12巻時点で最終的な結末が確定しているわけではありません。

そのため以下は考察として分けます。

恋愛面で玲琳の中心にいるのは皇太子・詠尭明です。

尭明は玲琳を大切に思い続けていますが、最初の入れ替わりでは外見が変わった玲琳を即座に見抜けませんでした。

これは恋愛面でも非常に意味のある出来事です。

「玲琳を愛している」と言いながら、自分は彼女の何を見ていたのか。

美しい姿なのか。

完璧な黄家の雛女なのか。

それとも黄玲琳という人間そのものなのか。

入れ替わりは、慧月だけでなく尭明にもこの問いを突きつけました。

12巻までの流れを見る限り、玲琳と尭明が恋愛の中心軸である可能性は高いと僕は考えています。

ただ、玲琳の結末で大切なのは「皇太子と結婚できるか」だけではありません。

これまで未来を欲しがることさえ控えてきた玲琳が、恋愛、友情、家族、その先の日常を「自分にも欲しい」と望めるようになること

そこまで描かれてこそ、玲琳の恋愛と成長が一つにつながるはずです。

慧月と景彰はどうなる?

慧月と玲琳の兄・黄景彰については、12巻で恋愛面の動きがより具体的になります。

そのため以前より一歩踏み込んで注目できる関係ですが、こちらも12巻時点で「最終的に結ばれる」と断定する段階ではありません。

慧月にとって本質的な問題は、誰と恋愛するか以上に、朱慧月として幸せになっていいと思えるかです。

最初の慧月は、玲琳にならなければ愛されないと思っていました。

だから玲琳の身体を欲しがった。

その慧月が最後に、自分の身体、自分の名前、自分の過去を持ったまま誰かの愛情を受け入れられるなら、第1巻の願いは完全に反転します。

玲琳は「自分として生きたい」と願う。

慧月も「自分として生きていい」と知る。

二人とも、相手の人生ではなく自分の人生を選ぶ

僕はこれこそ、『雛宮蝶鼠とりかえ伝』という長い物語が向かっている場所ではないかと考えています。

『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』原作小説1〜12巻を振り返ると、始まりは黄玲琳と朱慧月の身体の入れ替わりでした。

そこから朱雅媚の陰謀、豊穣祭、鑽仰礼、城下町、皇帝と道術を巡る25年前の因縁、金領の麻薬事件を経て、12巻ではついに玲琳自身の命と病弱さの原因へ物語が戻ってきます。

僕が12巻まで読んだ流れで最も鮮やかだと感じるのは、「奪うための入れ替わり」が「生かすための入れ替わり」へ変わったことです。

かつて玲琳の人生が欲しかった慧月は、今では玲琳本人以上に玲琳の人生を諦めようとしません。

そして、ずっと死を受け入れることに慣れてきた玲琳が、最後に自分の未来を欲しがれるのか。

2026年9月30日発売予定の第13巻から始まる最終幕では、事件の犯人探し以上に、玲琳と慧月が最後に何を願うのかを見届けたいところです。


よくある質問

『ふつつかな悪女ではございますが』原作小説は完結している?

2026年9月14日時点では、原作小説本編が完結済みとは確認できません。

第12巻まで発売済みで、第13巻は2026年9月30日発売予定です。13巻から本編クライマックスとなる最終幕「星に願いを。」編が始まりますが、13巻そのものが最終巻とは現時点で断定できません。

玲琳と慧月の入れ替わりは元に戻る?

はい。最初の事件が解決した段階で、玲琳と慧月は一度それぞれの身体へ戻ります。

ただし入れ替わり設定自体が終わるわけではなく、その後も危機への対処や事件解決のため再び身体を交換します。12巻では、その入れ替わりが玲琳の命そのものに関わる重要な意味を持つようになります。

最初の入れ替わり事件の黒幕は朱慧月?

入れ替わりの道術を実行したのは朱慧月です。

ただし慧月の劣等感を刺激し、自らの目的のため玲琳排除へ利用したのが朱貴妃・朱雅媚でした。そのため「慧月には責任がない」という話ではなく、慧月自身の罪と、彼女を利用した雅媚の思惑の両方が描かれます。

涼風 結人(すずかぜ ゆいと)/アニメ情報ナビゲーター

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