『ふつつかな悪女ではございますが』の原作は中村颯希さんの小説で、「小説家になろう」発の作品です。ただし、なろう版本編は現在公開されておらず、物語を追う中心は一迅社ノベルスの書籍版になっています。
漫画を描いているのは尾羊英さん、原作小説のイラストはゆき哉さんです。2026年9月14日現在、小説は第12巻まで発売済みで、第13巻は9月30日発売予定。漫画は第10巻まで刊行され、TVアニメも2026年7月12日から放送されています。TVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』公式サイト+3一迅社+3一迅社+3
『ふつつかな悪女ではございますが』の原作・作者は誰?
原作者は中村颯希さんです。漫画が原作ではなく、物語の出発点は中村颯希さんが執筆したWeb小説にあります。
正式タイトルは『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』。書籍版は一迅社ノベルスから刊行されており、公式書籍情報でも第1巻は「著:中村颯希、イラスト:ゆき哉」と明記されています。第1巻の発売日は2020年12月28日です。一迅社
まず、混同しやすい担当を整理すると次の通りです。
区分 担当・状況
原作小説 中村颯希
小説イラスト ゆき哉
出版 一迅社ノベルス
小説第1巻 2020年12月28日発売
コミカライズ 尾羊英
漫画の原作 中村颯希
漫画キャラクター原案 ゆき哉
Web版 「小説家になろう」発。本編は2021年4月23日に公開終了
TVアニメ 中村颯希の一迅社ノベルス版を原作として制作
アニメーション制作 動画工房
漫画から作品を知った人が「作者=尾羊英さん」と覚えているのは自然です。
実際、コミックスでは尾羊英さんの絵によって黄玲琳や朱慧月、きらびやかな雛宮の世界が描かれているため、漫画単体で見れば尾羊英さんが漫画作者になります。
ただし作品全体のクレジットは、コミック:尾羊英/原作:中村颯希/キャラクター原案:ゆき哉という関係です。2026年3月31日発売のコミックス第10巻でも、この分担が公式に確認できます。一迅社WEB
ですので、検索で迷ったときは、
- 原作者・小説の著者=中村颯希さん
- 原作イラスト=ゆき哉さん
- 漫画を描いている人=尾羊英さん
と整理すれば大丈夫です。
また「不束な悪女ではございますが」と漢字で検索するケースもありますが、公式タイトルはひらがなの『ふつつかな悪女ではございますが』です。
ここを最初に押さえると、この先の「なろう版」「書籍版」「漫画版」「アニメ版」の関係が一気に分かりやすくなります。
『ふつつかな悪女ではございますが』は小説家になろうで今も読める?
「小説家になろう」が原点なのは間違いありませんが、2026年9月14日現在、本編をなろうで最初から読むことはできません。現在残っているのは番外編ページです。
この部分は検索結果だけを見ると、「なろうから削除された」「なろうにまだある」という正反対の情報が出てきやすいので注意してください。
どちらも一部は正しいのですが、正確には「本編は公開終了、番外編ページは存続」という状態です。
経緯を時系列で見ると、かなり分かりやすくなります。
2021年4月8日、中村颯希さんは出版社との話し合いを経て、同年4月23日正午に『ふつつかな悪女ではございますが』を「小説家になろう」から公開終了する方針を告知しました。
その際、加筆やイラストが加わった書籍版で今後の作品を楽しんでもらいたいという趣旨も説明されています。小説家になろう
ところが4月19日、方針が一部変更されます。
読者から寄せられた声を受けて、作品ページそのものを消すのではなく、本編のみを取り下げ、番外編を残す形へ変更すると作者が発表しました。
同時に、作品ページのタイトルを『【番外編】ふつつかな悪女ではございますがWeb版』へ変更することも案内されています。小説家になろう
そして4月23日、本編の公開終了が実施されました。作者の活動報告でも、同日に本編を取り下げたことが改めて報告されています。小説家になろう
2026年9月14日現在、「小説家になろう」には『【番外編】ふつつかな悪女ではございますがWeb版』が残っており、連載中・全7エピソードと表示されています。
作品紹介にも「本編は2021年4月23日に公開を終了」と明記されています。小説家になろう+1
つまり現在の状況を短くまとめると、
- なろう原作? → YES
- なろうで本編を全部読める? → NO
- 作品ページ自体は残っている? → YES
- 現在読めるのは? → 番外編や人物紹介など全7エピソード
- 本編を読む中心は? → 一迅社ノベルスの書籍版
となります。
ここはかなり大事です。
単純に「なろうから削除された」とだけ書いてしまうと、現在も残っているページの説明がつきません。
反対に「今もなろうで読める」とだけ書くと、本編を探してページを訪れた読者が「第1話はどこ?」となってしまいます。
本編だけが公開終了し、番外編は残された。
これが現在の状態を最も正確に表す説明です。
そして興味深いのは、この変更そのものが読者の声を受けて行われたことです。
Web発作品では書籍化後もWeb版を残す作品、書籍と並行して更新する作品、公開を終了する作品など対応が分かれます。本作の場合は「本編は書籍へ移しつつ、番外編というWeb上の接点は残す」という形に落ち着いたわけですね。
作品が商業シリーズへ成長していく過程と、Web時代から応援してきた読者とのつながり、その両方が見える出来事だったと僕は感じます。

なろうWeb版と書籍版『ふつつかな悪女ではございますが』は何が違う?
Web版が物語の原点なのに対し、書籍版は加筆・新エピソード・イラストなどを含めて再構成された商業版です。「昔なろうで読んだから内容は全部同じ」と考えないほうがいい作品です。
特に分かりやすいのが第2巻です。
一迅社は2021年6月2日発売の第2巻について、Web版から大幅に加筆し、新エピソードを多数加えた巻であることを公式紹介で明示しています。一迅社
作者の中村颯希さん自身も発売前の活動報告で、第2巻はWeb掲載版から大きく加筆し、さらに第3巻につながる新たな展開も盛り込んだと説明しています。小説家になろう
ここは「書籍化=文章を整えて紙にしただけ」ではないと分かる具体的なポイントでしょう。
さらに第1巻の段階から、書籍版にはゆき哉さんのイラストが加わっています。
黄玲琳の蝶のような華やかさと、朱慧月が置かれていた境遇。豪華な雛宮の衣装や空気感は、文章だけで読んだWeb版とはまた違う入口になります。
つまり大きく見ると、
Web版=物語が生まれた原型
書籍版=原型をベースに加筆・新展開・ビジュアルを加えて発展したシリーズ
と整理するのが分かりやすいです。
なお、「Web版の第何話に対して書籍版のどの文章が何行追加された」という逐語的な比較は、現在Web版本編が公開されていない以上、公式情報だけを使って網羅的に検証することは困難です。
だからこそ、確認できない差分まで「ここが追加された」と断定するのは避けるべきでしょう。
一方で、第2巻が大幅加筆され、新エピソードと次巻につながる展開を含むことは出版社・作者双方から確認できます。
ここまででも、なろう既読者が改めて書籍版を読む意味は十分あります。
さらに2026年8月31日には、シリーズ初の『ふつつかな悪女ではございますが掌編集1 ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』が発売されました。
この掌編集には、第1巻~第6巻の購入特典ショートストーリー、SNSで発表された短編、Web掲載の閑話など、単行本未収録だった計32編を収録。さらに書き下ろしエピソードも追加されています。一迅社
これも、現在の『ふつつかな悪女』が単純な「なろう小説を書籍にした作品」ではなくなっていることを示しています。
Webから始まった物語が、書籍本編、店舗特典、SNS短編、Web閑話などへ枝を伸ばし、それらを再び掌編集としてまとめるところまで世界が広がっているんですね。
個人的には、ここがアニメから原作へ入る人にも知っておいてほしいポイントです。
アニメの続きだけを知るなら対応する先の巻へ進む読み方もできます。
ただ、本作は玲琳や慧月が「相手の人生」を経験した結果、少しずつ人物の見え方が変わっていく物語です。
書籍版で加筆された描写まで含めて心情の変化を追うなら、第1巻から読む価値はかなり大きいと僕は思います。
原作小説・漫画・アニメはどこまで出ている?
2026年9月14日現在、原作小説は第12巻まで発売済みで、第13巻が9月30日に発売予定。コミックスは第10巻まで刊行済みです。TVアニメは2026年7月12日に放送を開始しています。
まず原作小説第12巻は、2026年3月31日に発売されました。
第12巻では第七幕にあたる黄家への帰省が描かれ、玲琳の家族や生まれ育った環境へ物語が踏み込んでいます。一迅社
そして最新の一迅社刊行予定では、第13巻が2026年9月30日発売予定と案内されています。つまり9月14日時点では「最新刊は12巻、次巻13巻の発売が間近」という状態です。一迅社+1
検索で「原作は何巻まで?」と調べている人は、この日付に注意してください。
9月30日以降は第13巻が発売済みに変わる予定なので、刊行状況は購入前に出版社の最新情報を確認するのが確実です。
漫画版は尾羊英さんがコミカライズを担当し、2026年3月31日に第10巻が発売されています。
公式クレジットは「尾羊英:コミック/中村颯希:原作/ゆき哉:キャラクター原案」です。一迅社WEB
そしてシリーズ累計発行部数は、電子書籍を含めて400万部を突破しています。一迅社は2025年9月30日の第11巻発売時点でも、この数字を公式書籍情報に掲載しています。一迅社
400万部という数字からも、Web小説から始まった作品が小説だけでなく、コミカライズを含む大きなシリーズへ成長したことが分かります。
ではアニメは漫画版をアニメ化しているのでしょうか。
答えは原作クレジット上は中村颯希さんの一迅社ノベルス版が原作です。
TVアニメ公式サイトでは、スタッフ欄に「原作:中村颯希(一迅社ノベルス/一迅社刊)」と掲載され、キャラクター原案にゆき哉さんと尾羊英さん、アニメーション制作に動画工房がクレジットされています。TVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』公式サイト
アニメは2026年7月12日23時45分からテレ東系列で放送を開始しました。TVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』公式サイト+1
したがって、メディア展開を大きな流れで見ると、
小説家になろうのWeb版 → 一迅社ノベルス → コミカライズ → TVアニメ
という順序です。
もちろんアニメでは漫画版のキャラクターデザインや視覚表現から受ける影響もあるでしょう。
ただ「アニメの原作を読みたい」と本屋や電子書籍で探す場合、選ぶべきなのは中村颯希さんの一迅社ノベルス版です。

作者・中村颯希の作風と、原作小説を読む価値は?
中村颯希さんの魅力のひとつは、「周囲から見た常識」と「主人公本人の常識」をぶつけ、最初に与えられた人物評価を鮮やかに反転させる人物造形にあると僕は考えています。
中村颯希さんは『ふつつかな悪女ではございますが』だけでなく、『無欲の聖女』『神様の定食屋』『地獄の沙汰もメシ次第』『シャバの「普通」は難しい』などを手がけてきた作家です。
KADOKAWAの著者紹介でも、2016年の『無欲の聖女』以降、複数のシリーズを執筆してきたことが紹介されています。KADOKAWAオフィシャルサイト
『ふつつかな悪女』と特に相性よく比較できるのが、『シャバの「普通」は難しい』でしょう。
同作の主人公エルマは監獄育ちで、本人は社会の「普通」を目指しているのに、その能力や行動が周囲から見るとまったく普通ではありません。KADOKAWAの作品紹介でも、エルマの常識外れな行動が王宮を揺るがしていく物語として紹介されています。KADOKAWAオフィシャルサイト+1
『ふつつかな悪女』の黄玲琳にも、似た構造があります。
玲琳は美しく聡明で周囲から愛される一方、幼いころから病弱で、常に体調悪化や死の可能性と隣り合わせに生きてきました。
そんな玲琳が、皆から嫌われる朱慧月の身体へ入れ替えられてしまいます。
周囲から見れば大転落です。
美しい容姿も立場も信頼も失い、粗末な環境へ追いやられる。
ところが玲琳が最も強く感じたのは、「健康な身体を自由に動かせる」という喜びでした。
ここで読者が最初に抱きやすい、
「玲琳=すべてを持つ恵まれた少女」
「慧月=何も持たない不幸な少女」
という認識が崩れます。
慧月が欲しかった玲琳の人生にも、外からは見えない苦しさがある。
玲琳が突然押しつけられた慧月の人生にも、玲琳自身が長く願い続けた価値がある。
立場が入れ替わるだけでなく、幸福と不幸の物差しまで入れ替わる。
僕はここが、この作品の入れ替わり設定を単なるギミックで終わらせていない最大のポイントだと思っています。
そして、この面白さは原作小説と非常に相性がいいです。
漫画版なら、周囲が絶望しているのに玲琳だけが健康な身体を得て輝いている、といった温度差を表情で一瞬にして見せられます。
一方、小説では玲琳が何を見て、何を喜び、なぜ周囲とまったく違う判断をするのかを内側から追えます。
慧月についても同じです。
玲琳を羨み、その立場を欲しがった少女が、実際に玲琳として生きることで何を知るのか。
相手を遠くから観察するのではなく、相手の身体で相手の人生を経験してしまうところに、この物語の残酷さと優しさがあります。
だから僕は、「アニメや漫画でストーリーを知っているから小説は同じ」とは感じません。
むしろ展開を知っている人ほど、小説で二人の認識のズレや心情を拾う楽しさがある作品です。
Web小説では、序盤で作品の個性を伝える強いフックが重視されやすい傾向があります。
『ふつつかな悪女』にも「愛され雛女と悪女の身体が入れ替わる」という非常に分かりやすい入口があります。
しかし、それだけなら長いシリーズを読み続ける理由にはなりません。
入れ替わり後に玲琳と慧月の価値観がぶつかり、互いが相手を理解し、最初の敵味方という関係だけでは説明できなくなっていく。
筆者としては、この分かりやすい逆転劇を入口にしながら、人間関係の見え方を何度も更新していく構造が、長く読まれる理由の一つではないかと考えています。
だからこそ、「作者は誰?」「なろう版と書籍版は違う?」と調べて原作へ興味を持ったなら、第1巻から読む意味があります。
書籍版はWeb版を保存しただけではありません。
加筆、新エピソード、イラスト、そして長期シリーズ化の中で積み重ねられた人物関係まで含めて、現在の『ふつつかな悪女ではございますが』の原作世界が形作られているからです。
『ふつつかな悪女ではございますが』原作・作者・なろう版の違いまとめ
『ふつつかな悪女ではございますが』の原作者は、中村颯希さんです。
作品は「小説家になろう」に掲載されたWeb小説から始まり、2020年12月28日に一迅社ノベルスから書籍第1巻が発売されました。書籍イラストはゆき哉さん、コミカライズは尾羊英さんが担当しています。一迅社
Web版については、2021年4月23日に本編の公開が終了しました。
ただしページ自体が完全に削除されたわけではありません。
2026年9月14日現在も『【番外編】ふつつかな悪女ではございますがWeb版』が残っており、全7エピソードの番外編や人物紹介などを読むことができます。小説家になろう
つまり、
「小説家になろう発」は正しい。
「今も小説家になろうで本編を全部読める」は違う。
この2点をセットで覚えるのが一番分かりやすいです。
そしてWeb版と書籍版も完全に同一ではありません。
少なくとも第2巻については、出版社がWeb版からの大幅加筆と多数の新エピソード追加を明記し、作者も次巻につながる新展開を織り込んだことを説明しています。一迅社+1
2026年9月14日現在、原作小説は第12巻まで発売済みで、第13巻が9月30日に発売予定。
コミックスは第10巻まで発売され、シリーズ累計発行部数は電子書籍を含めて400万部を突破しています。一迅社+2一迅社WEB+2
TVアニメも中村颯希さんの一迅社ノベルス版を原作として、2026年7月12日から放送されています。TVアニメ『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』公式サイト+1
媒体が増えたことで少し複雑に見えますが、一本の線にすると迷いません。
物語を生み出した原作者は中村颯希さん。Web版が原点で、現在の原作本編を読む中心は一迅社ノベルス版です。
そして原作を読む価値は、単にアニメや漫画の「先の展開を知れる」ことだけではありません。
玲琳がなぜ逆境を逆境だと思わないのか。
慧月が玲琳の人生を手に入れて何を知るのか。
入れ替わった二人が、相手の身体を通して「自分には見えていなかった人生」を知っていく。
その内面までじっくり味わえるのが、原作小説ならではの面白さです。
よくある質問
『ふつつかな悪女ではございますが』の原作者は誰ですか?
原作者は中村颯希さんです。
原作小説のイラストはゆき哉さん、漫画版は尾羊英さんが担当しています。漫画版でも「原作:中村颯希」と公式にクレジットされています。一迅社WEB
『ふつつかな悪女ではございますが』は小説家になろうで今も読めますか?
本編は読めません。2021年4月23日にWeb版本編の公開が終了しています。
ただし2026年9月14日現在、『【番外編】ふつつかな悪女ではございますがWeb版』は残っており、全7エピソードが公開されています。小説家になろう+1
『ふつつかな悪女ではございますが』の原作小説は何巻まで出ていますか?
2026年9月14日現在は第12巻まで発売済みです。第13巻は2026年9月30日発売予定と一迅社から案内されています。一迅社+1
執筆:涼風 結人(アニメ情報ナビゲーター)


