PR

『ふつつかな悪女ではございますが』莉莉(リーリー)はどんな人物?立場とネタバレを解説

朱慧月のそばで腕を組みながらも気遣う莉莉と穏やかに微笑む黄玲琳を描いた中華後宮ファンタジー風の場面 未分類

莉莉(リーリー)は朱慧月付きの下級女官で、入れ替わりを通じて玲琳と慧月の双方を支える重要人物です。

最初は主人の慧月を憎んでいましたが、「慧月の身体に入った黄玲琳」と出会って主従関係が一変します。この記事では莉莉の出自や過去、玲琳を信頼するまでの流れ、本物の慧月とのその後まで、原作の事実と考察を分けながらネタバレ込みで整理します。

※この記事には『ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~』の原作およびアニメの重要なネタバレが含まれます。

『ふつつかな悪女ではございますが』莉莉(リーリー)は誰?

莉莉は、朱家の雛女・朱慧月に仕える下級女官です。異国の踊り子を母に持ち、周囲から蔑視されてきた少女でもあります。

TVアニメ公式のキャラクター紹介でも、慧月に仕える女官であること、異国の踊り子だった母から赤毛を受け継いだこと、慧月から繰り返し嫌がらせを受けて憎しみを募らせていたことが紹介されています。

Web版番外編の登場人物紹介では、より端的に「朱家の下級女官」「異国の踊り子の娘として蔑視されている人物」と位置づけられています。

本名は「リリー」。西国シェルバにルーツを持つ母と、朱家に連なる貴族の父との間に生まれました。

赤みの強い髪を高い位置でまとめた姿が印象的で、小柄ながら感情表現はかなり大きめ。怒れば怒ったとすぐ分かり、呆れれば顔に出るという、雛宮ではかなり珍しい“分かりやすい人”です。

玲琳や慧月、皇族、五家の雛女たちのように腹の内を簡単には見せない人物が多い作品だからこそ、莉莉の存在は貴重なんですよね。

「いや、それは普通おかしいでしょ」と読者が思うところで、莉莉もほぼ同じ温度で驚いてくれる。

そのため彼女は、慧月付きの女官であるだけでなく、作品世界を読者と同じ高さから見渡す“常識人兼ツッコミ役”としても機能しています。

ただし、莉莉を単純なコメディ要員と見るのはもったいありません。

彼女自身もまた、玲琳や慧月と同じように「生まれや立場によって傷つけられてきた人物」です。だからこそ、入れ替わりによって人間関係が組み替わっていく本作のテーマを、もっとも身近な場所から体現しているキャラクターの一人なのです。


莉莉の過去とは?西国シェルバの母を持つ不遇な生い立ち

莉莉が簡単に他人を信用できない背景には、幼いころから出自を理由に居場所を奪われ続けてきた過去があります。

莉莉の母は、西国シェルバからやってきた移民であり踊り子でした。

父親は朱家に連なる貴族でしたが、莉莉母娘が正式な家族として穏やかに暮らせたわけではありません。

母と莉莉は下町に用意された屋敷で生活していたものの、父の正室から嫌がらせを受けるようになります。そして莉莉は、幼くして母を失いました。

母の死後も状況は好転しません。

残された屋敷や財産を失い、父方の本家にも娘として迎えられず、最終的に莉莉は朱駒宮へ女官として送られます。

しかも貴族の血を引いているからといって高い待遇を受けたわけではなく、身分は下級女官。

さらに異国の母から受け継いだ赤い髪や出自も、彼女が周囲から軽んじられる理由になっていました。

つまり莉莉にとって「家柄」は、自分を守ってくれる盾ではありません。

むしろ父の家に連なる血を持ちながら、その家から十分に守られなかったという点が、彼女の人生のやるせないところです。

※画像はAIによるイメージ

ここを押さえておくと、物語序盤の莉莉の刺々しさがかなり違って見えます。

口調が荒い。簡単に主人を信用しない。自分を見下してきた相手に強い反発を見せる。

これらは単純に「気が強い女の子だから」ではありません。

自分を守ってくれるはずの大人や家に裏切られ、朱駒宮でも低い立場に置かれてきた莉莉にとって、最初から無条件で誰かを信じるほうが難しかったのでしょう。

これは筆者の解釈になりますが、莉莉の攻撃的な態度は、朱家らしい直情的な気質と、生き延びるために身につけた自己防衛が重なったものと読むと非常にしっくりきます。

Web版番外編「五家の性質―莉莉は見た―」でも、下町暮らしの長かった莉莉は、出仕する以前には五家それぞれの性質をそこまで意識していなかったと描かれています。

つまり彼女は、名家の論理の中心で育った令嬢ではありません。

雛宮という特殊な場所に入り込み、そこで初めて黄家・玄家・金家・藍家・朱家の“濃い人々”を間近で見ることになった人物なのです。

この「半分は朱家側の人間でありながら、半分は庶民に近い視点を持っている」という立ち位置こそ、莉莉の大きな個性です。


莉莉と玲琳の関係はどう変わった?入れ替わり後の流れを時系列で整理

莉莉は最初から玲琳を慕っていたわけではなく、疑い、反発し、それでも行動を見続けた末に自分の意思で信頼するようになります。

ここは莉莉という人物を理解するうえで最重要ポイントです。

まず前提として、莉莉が仕えていた本来の朱慧月は、彼女に優しい主人ではありませんでした。

慧月は雛宮で「どぶネズミ」と呼ばれ、周囲との関係も悪化していた人物です。

莉莉自身も慧月から繰り返し辛く当たられており、主人に忠誠を誓っていたどころか、強い不満と憎しみを抱えていました。

ところが乞巧節の夜、慧月が道術によって黄玲琳と身体を入れ替えます。

莉莉から見える外見はそのまま慧月。

しかし中身は、それまで黄家の雛女として生きてきた玲琳です。

この瞬間から、莉莉の知っていた「主人」の行動がことごとく崩れていきます。

アニメ版での変化を追うと、その過程がかなり分かりやすくなっています。

段階 莉莉と「慧月(中身は玲琳)」の関係
入れ替わり前 慧月から嫌がらせを受け、莉莉は主人を強く嫌っている
アニメ第2話 朱駒宮のあばら家へ追いやられ、莉莉は積もった怒りをぶつけて世話をしないと離れる
アニメ第3話 金家の上級女官を名乗る雅容にそそのかされ、慧月(玲琳)へ嫌がらせを仕掛ける
アニメ第4話 玲琳の予想外の優しさや、莉莉自身を引き上げようとする姿勢に戸惑いながら距離が縮まる
アニメ第5話 中元節の儀へ玲琳と同行し、単なる敵対関係ではなく主従として動き始める
アニメ第9話 危険な状況でも玲琳を案じ、二人の間に強い信頼が育っていることが明確になる
原作のその後 入れ替わりの真相を知った後も玲琳を敬いながら、本来の慧月にも仕え続ける

アニメ第2話では、廃墟同然の場所へ追いやられたことで莉莉がそれまでの不満を爆発させ、第3話では雅容にそそのかされて慧月(玲琳)へ嫌がらせを仕掛ける流れが公式あらすじでも確認できます。

普通の作品なら、ここで「優しくされてすぐ仲直り」という展開にもできたでしょう。

でも莉莉はそうならない。

疑うし、反発するし、「急に別人みたいになった主人」をむしろ警戒します。

この段階を踏むからこそ、のちの信頼に説得力があります。

何より莉莉を混乱させたのは、玲琳が追放生活そのものをほとんど苦にしていなかったことです。

幼いころから極端に病弱だった玲琳にとって、慧月の健康な身体は憧れそのもの。

畑を耕せる。

自由に歩ける。

自分の身体で働いても、すぐ倒れない。

周囲が「罰」として用意した環境を、玲琳だけは人生の自由時間のように満喫してしまいます。

莉莉からしたら、とんでもない話ですよね。

つい先日まで自分を虐げていた主人が、突然畑を耕し始め、前向きに暮らし、自分にまで気を遣う。

しかも莉莉が敵意を向けても、玲琳は「罰を与えるべき使用人」として切り捨てません。

むしろ莉莉がこれまで受けてきた扱いに目を向け、自分のそばでより良い待遇を得られるようにしようとします。

アニメ第4話では、玲琳が莉莉のために衣装を整えるだけでなく、彼女をより高い立場の女官へ引き上げようとする方向へ話が進んでいきます。第5話では莉莉を伴って中元節の儀へ向かい、雅容との一件にも玲琳自身が向き合います。

ここで重要なのは、玲琳が言葉で「私を信じなさい」と迫らないことです。

玲琳はただ、莉莉を一人の人間として扱い続ける。

莉莉はその行動を見て、最終的に自分のほうから信頼するようになります。

※画像はAIによるイメージ

筆者として、この主従関係で一番好きなのは莉莉が玲琳の信者にならないことです。

忠誠心は深くなっても、玲琳が常識外れな方向へ走り出せば容赦なく驚くし、文句も言う。

玲琳がアクセルなら、莉莉はブレーキです。

ただ、そのブレーキが最後にはアクセルに引っ張られて一緒に走ってしまう。

このテンポの良さが、『ふつつかな悪女ではございますが』のシリアスとコメディをつなぐ絶妙な接着剤になっています。


莉莉と本物の朱慧月の関係は?なぜその後も朱家に残った?

作中で確認できる事実は、入れ替わり事件を経た後も莉莉が朱家側に残り、本来の朱慧月のそばで行動していることです。一方、「なぜ残ったのか」という心理には解釈を含めて考える必要があります。

ここは事実と考察をはっきり分けておきましょう。

まず事実です。

最初の入れ替わりを通して、莉莉は「慧月の姿をした玲琳」に強く心を動かされます。

やがて入れ替わりの真相を知れば、当然ながら自分を救ってくれた人物が本来の主人・慧月ではなく、黄玲琳だったことも理解します。

それでも莉莉は、その後ずっと玲琳だけのそばへ移ってしまうわけではありません。

Web版番外編「五家の性質―莉莉は見た―」は、入れ替わり事件から半月ほど後の出来事と明示されています。

そこでは莉莉が「主人」である本来の朱慧月を梨園で探し、朱駒宮へ戻った後にも慧月と普通に言葉を交わしています。つまり少なくともこの時点で、莉莉が朱家側に残り、慧月との主従関係を続けていること自体は作中で確認できます。

では、なぜ莉莉は慧月のそばに残ったのでしょうか。

ここからは筆者の考察です。

もっとも大きいのは、入れ替わりによって慧月自身も「他人の苦しさ」を知ったことだと考えています。

慧月は玲琳を、才色兼備で皇太子からも愛され、誰もが味方をしてくれる恵まれた少女だと見ていました。

ところが実際に玲琳の身体へ入ってみると、その日常は決して楽ではありません。

病弱な身体。

自由に動けない苦しさ。

いつ体調を崩すか分からない恐怖。

それでも玲琳は努力を続けていました。

慧月は、自分が妬み続けた相手にも、自分からは見えていなかった苦痛が存在したことを身体ごと知ることになります。

一方の莉莉にも、外からは簡単に分からない傷があります。

異国出身の母を持つこと。

父方の家に十分守られなかったこと。

朱駒宮へ送られ、下級女官として扱われてきたこと。

事情はまったく同じではありません。

それでも莉莉と慧月には、「本来なら自分を守ってくれてもよかった周囲から、十分には守られなかった」という共通項があります。

だから筆者は、莉莉が慧月のそばに残った理由を「昔から本当は慧月が好きだった」とは読みません。

むしろ逆でしょう。

嫌いだった。

実際に傷つけられた。

それでも入れ替わりを通して慧月の弱さや変化を知った結果、以前と同じ目では見られなくなった。

そう読むほうが、莉莉の成長には自然です。

玲琳から優しくされたから、玲琳だけについていく。

それでも物語としては成立します。

しかし莉莉はそこで終わらず、自分が受け取ったものを別の人物へ渡せる側に回っていく。

玲琳から「見捨てられない」という姿勢を受け取り、それを今度は慧月へ向ける。

これが莉莉というキャラクターの一番美しい変化ではないでしょうか。

重要なのは、これは莉莉自身が「私は玲琳から優しさを教わったので慧月を見捨てません」と明言した、という意味ではない点です。

作中で確認できるのは「事件後も慧月の側にいる」という行動。

そこから理由を読み解く部分は、あくまで人物描写を踏まえた考察です。

この線引きをしておくと、莉莉と慧月の関係をより丁寧に味わえると思います。


莉莉はなぜ重要?五家を読者目線で見る「第三者の目」になっている

莉莉の物語上の役割は、玲琳と慧月の変化を外側から見届けること、そしてクセの強い五家を読者と同じ感覚で観察することです。

Web版番外編「五家の性質―莉莉は見た―」は、この役割がそのままタイトルになったようなエピソードです。

入れ替わり事件から半月ほど後、莉莉は梨園で上等な銀の簪を拾います。

そこから黄家、玄家、金家、藍家の人物たちと接するうちに、それぞれが祖先から受け継いだとされる独特の気質を嫌というほど体感していきます。

黄家は大地のように揺るがない。

玄家は静けさと激しさを併せ持つ。

金家は誇り高く、藍家は理知的。

そして朱家は苛烈。

こうした世界設定を説明文だけで並べると、どうしても情報量が多くなります。

ところが莉莉という一般感覚に近い人物を通すと、「あ、この家の人たち本当にこういう考え方をするんだ」と一気に分かりやすくなるんです。

黄家の玲琳や皇后・黄絹秀の動じなさに戸惑う。

金家や藍家の人々の独特な反応についていけなくなる。

玄家の感覚にも振り回される。

最後には朱家へ戻り、「やっぱり他の家も十分面倒くさい」と言いたくなるような状態になる。

この一連の反応そのものが、作品世界のガイドになっています。

しかも面白いのは、莉莉自身も完全な部外者ではないことです。

朱家の領域で長く暮らした彼女には、感情をストレートに出すところや、腹を立てればすぐ表情に現れるところなど、十分に朱家らしい部分があります。

つまり莉莉は「普通の人が変人たちを眺めている」のではありません。

自分も五家の影響を受けているのに、自分だけは比較的普通だと思っている人物が、ほかの家を見て驚いている。

ここが最高に面白い。

また、莉莉は玲琳の人格を評価するうえでも重要な第三者です。

玲琳はもともと黄家で愛され、皇后・黄絹秀からも認められている人物です。

玲琳を最初から好きな人が彼女を褒めても、「身内から愛されている主人公」と見ることはできます。

でも莉莉は違う。

莉莉は最初、「慧月」のことを心底信用していません。

そんな莉莉が外見ではなく日々の行動を見て、「この人には仕えたい」と思うようになる。

だから玲琳の優しさに説得力が出るんです。

同じことが慧月にも言えます。

慧月が変わったと本人が口で説明するより、以前の慧月を嫌っていた莉莉が事件後も彼女の側にいるほうが、人物の変化を強く伝えられます。

莉莉は主人公ではありません。

しかし主人公二人の成長を読者が信じるための「証人」としては、かなり重要なポジションにいるのです。


莉莉の声優は菱川花菜!アニメではどこに注目?

TVアニメで莉莉を演じている声優は菱川花菜です。

公式サイトでも莉莉役として発表されており、黄玲琳役は石見舞菜香、朱慧月役は川井田夏海が担当しています。

莉莉は声の芝居が映えるキャラクターです。

玲琳のように常に落ち着いている人物とは違い、疑う、怒る、驚く、呆れる、焦る、泣くといった感情がかなり大きく表へ出ます。

特にアニメ第2話から第5話にかけては、莉莉の感情が短期間で大きく変わります。

第2話では「もう世話なんてするものか」というほど慧月への怒りを抱えている。

第3話では玲琳の予想外の反応に戸惑いながら、長年抱えてきた感情が噴き出す。

そこから第4話、第5話と進むにつれて、声の距離感まで少しずつ「敵意のある使用人」から「呆れながら主人についていく側仕え」へ近づいていく。

この変化はアニメならではの楽しみ方でしょう。

さらに2026年9月6日放送の第9話「必ずお助けいたします」では、玲琳と莉莉の間に積み上がった信頼を象徴する場面も描かれました。

TVアニメは2026年9月13日に第10話「呪いも半分こ」が放送されており、物語そのものも入れ替わりの核心へ深く入っています。

原作既読の立場から見ると、莉莉の魅力は「かわいい反応」だけではありません。

彼女の声があることで、玲琳の異常なまでの前向きさがより際立つんです。

玲琳が「この状況も素晴らしい経験ですね」という顔で前へ進む。

そこで莉莉まで静かに納得してしまえば、視聴者側の感覚との差がなくなります。

ところが莉莉が全力で「どうしてそうなるの!?」という反応をするから、玲琳の鋼メンタルが何倍にも面白く見える。

莉莉は玲琳のブレーキであり、視聴者の実況席でもある。

菱川花菜さんの演技では、このテンポのいい切り返しと、莉莉の過去に触れる場面で見せる感情の落差に注目したいところです。


莉莉を考察すると何が見える?「優しさが連鎖する物語」の中心人物

筆者としては、莉莉は玲琳から受け取った優しさを慧月へつなぐことで、本作のテーマを体現する人物だと考えています。

『ふつつかな悪女ではございますが』は、身体が入れ替わること自体をゴールにした作品ではありません。

本当に面白いのは、入れ替わることでそれまで見えなかった相手の事情が見えてくることです。

玲琳は慧月の身体を得て、健康な身体の自由を知る。

慧月は玲琳の身体を得て、病弱さの苦しみと、玲琳が努力してきた時間を知る。

そして莉莉もまた、「ずっと憎んできた主人と同じ姿をした別人」に出会ったことで、人を見る基準そのものを変えていきます。

ここでポイントになるのは、莉莉が外見だけでは人を判断できなくなったことです。

序盤の莉莉にとって「朱慧月」は、自分を苦しめる嫌な主人でした。

ところが同じ顔、同じ身体の人物が、自分を尊重し、守り、可能性まで信じてくれる。

それによって莉莉は嫌でも知ることになります。

人を決めるのは、家柄や顔や肩書だけではない。

逆にいえば、本物の慧月についても「昔こういう人だったから、この先も一生同じ」と決めつける必要はなくなります。

これは慧月を無条件に許すという意味ではありません。

過去に莉莉が受けた扱いまで消えるわけではありませんし、傷つけられた側が簡単に水に流さなければならない理由もありません。

だからこそ、莉莉が慧月の側に残るという行動は重い。

玲琳との出会いによって、莉莉は「自分を大切にしてくれる人を信じること」を覚えただけではなく、変わろうとしている人間を見る余裕まで持てるようになったのではないでしょうか。

筆者はここに、玲琳の本当の強さが出ていると思います。

玲琳は敵を倒して従わせる主人公ではありません。

相手を論破して改心させるわけでもない。

ただ、自分が正しいと思う態度で相手に接し続ける。

その結果、救われた人が、さらに別の誰かに同じ姿勢を向け始める。

玲琳から莉莉へ。

莉莉から慧月へ。

そうやって人間関係の向きが少しずつ変わっていく。

これは、入れ替わりという派手な仕掛けの裏側にある『ふつつかな悪女ではございますが』の大きな魅力だと感じます。

だから莉莉を「玲琳のツッコミ役」とだけ覚えてしまうのは本当にもったいない。

彼女は、玲琳の人柄が他人を変えたことを証明する人物であり、同時に慧月が変わっていく姿を最も厳しい位置から見届ける人物でもあります。

しかも自分自身もまた、信じることを怖がっていた少女から、誰かを支える側へ変化している。

莉莉自身も、立派な“入れ替わりによって人生を変えられた一人”なのです。


まとめ:莉莉は玲琳と慧月をつなぐ重要な女官

『ふつつかな悪女ではございますが』の莉莉(リーリー)は、西国シェルバにルーツを持つ母と朱家に連なる父の間に生まれ、厳しい環境を生きてきた朱慧月付きの下級女官です。

本来の慧月から嫌がらせを受けていたため、物語開始時点では主人に忠誠を誓っているどころか、強い反感を抱いていました。

しかし黄玲琳と慧月の身体が入れ替わったことで状況が変わります。

「慧月の姿をした玲琳」は、莉莉を身分の低い使用人として扱わず、一人の人間として尊重しました。

莉莉はすぐに心を開いたわけではありません。

疑い、反発し、ときには敵対しながら、それでも玲琳の行動を見続けた結果、自分自身の意思で信頼するようになります。

そして重要なのが、その信頼が玲琳だけで終わらなかったことです。

入れ替わり事件後も、莉莉は本来の朱慧月の側で行動しています。

その理由を直接説明する決定的な一言があるわけではないため、「慧月を見捨てられなかったから」と断定するのは避けるべきでしょう。

ただ、玲琳との出会いを経て莉莉自身の他人を見る目が変わり、同じく変わり始めた慧月との関係まで再構築されていった――そう読むと、彼女の歩みはとてもきれいにつながります。

玲琳に救われた少女。

慧月を最も厳しい目で見てきた側仕え。

そして五家の規格外な人々に、読者の代わりにツッコミを入れてくれる常識人。

この三つが重なっているからこそ、莉莉は単なる脇役ではありません。

玲琳と慧月という二人の主人公の間をつなぎ、人から人へ優しさが広がっていく過程を見せてくれるキャラクター。

それが莉莉なのだと筆者は考えています。

物語を見返すときは、玲琳や慧月本人だけでなく、二人を見る莉莉の表情や言葉にも注目してみてください。

最初の刺々しい態度を知っているほど、その後の距離感の変化がぐっと味わい深く見えてきます。


よくある質問

莉莉(リーリー)は誰に仕えている?

莉莉は朱家の雛女・朱慧月に仕える下級女官です。物語序盤では慧月を強く嫌っていますが、玲琳との入れ替わり事件を通じて主従関係が大きく変化します。

莉莉は玲琳について黄家へ行ったの?

玲琳への信頼や忠誠は非常に強くなりますが、入れ替わり事件後も莉莉が朱家側に残り、本来の慧月に仕えていることは作中で確認できます。ただし、残った心理的理由については明言部分と考察を分けて読む必要があります。

莉莉の声優は誰?

TVアニメ版で莉莉を演じるのは菱川花菜です。怒りや驚きが表情に出やすい莉莉と、どんな状況でも前向きな玲琳とのテンポの良い掛け合いが大きな見どころになっています。

執筆:涼風 結人(アニメ情報ナビゲーター)

タイトルとURLをコピーしました